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「どうかお願いです」世界遺産の知床「ゴミのポイ捨て」に悲痛な声 誤飲し病気に、死を待つしかないキツネも

 近年、住宅近くにクマやイノシシなどの野生動物が現れ、人を攻撃したり作物を荒らしたりする被害が相次いでいます。その原因の一つは、野生動物たちがゴミのポイ捨てや違法な餌付けなどで、本来知らない「人の食べ物の味」を覚えたことによるもの。さらに、その不用意な行動で、生命の危機に瀕する動物もいます。

■道端に投げ捨てられたゴミ

 北海道の知床世界遺産センターが今月19日、「本当にお願い」と題してツイートしたのもそんな事例。同センターによると、同日朝、出勤中のスタッフが知床国立公園内の道路脇にゴミが散乱していたのを発見しました。

 「ビニール袋1袋分で、いわゆる生活ゴミ。恐らく投げ捨てられたものだと思われます。散乱していたので動物が近づき食べていた可能性もあり、急いで回収しました」

 捨てられていた場所は、公園内でも見晴らしの良い場所の近く。知床半島は元々ヒグマの生息地で、公園内で普通に観光していてもヒグマに出会う可能性があるため、同センターでは餌やりを絶対しないように呼び掛けているほか、7~8月の繁忙期にはゴミのポイ捨てが増えがちなため巡回でも注意しているといいます。   

 「ヒグマ、キツネ、タヌキ等の野生動物がこのゴミにおびき寄せられ、ヒグマは味を覚えてしまい人里や人に近付き最悪駆除の対象になり、キツネやタヌキは消化しきれず皮膚病になってしまい死に至ることも」と同センター。続くツイートでは「ゴミを捨てた人は投げ捨てておしまいと思うかもしれませんが、色々なことに影響が及びます。どうかお願いです。ポイ捨てする前に考えてくれると嬉しいです。捨てようとしているそのゴミを、ゴミ箱に入れてくれるだけで野生動物も人も助かります…」と訴えます。

■目も見えず、棒っきれのように痩せ衰えたキツネ

 北海道では本年度、ヒグマによる被害が相次いでおり、今月12日までの死傷者数は9人(うち死者3人)と統計の残る1962年度以降で最悪に。飼い犬が被害に遭う例も報告されています。

 一方、キツネに広がっていると懸念されているのが、疥癬(かいせん)と呼ばれる皮膚病。道立衛生研究所によると、ヒゼンダニという小さなダニが、動物の皮下にトンネルを作って繁殖することで引き起こされるといい、重症化すると体や尾の毛が抜け、皮膚が厚く硬くなってひび割れ、激しい痒みのためキツネは患部をかきむしり、その傷口から細菌感染も。顔面に寄生すると目の周りの皮膚が硬化。ほとんど目が開かなくなった個体もおり、そうなると餌も捕れなくなって痩せ衰え、やがて死んでしまうという恐ろしい病気です。

 接触で群れ全体へと感染が広がるのも特徴で、同研究所の1999年の調査では道南地方を除く北海道全域でこの疥癬のキツネが確認され、この前後には捕獲数の減少もみられました。また、近年では本州でも疥癬病のキツネやタヌキ、アナグマが確認されているという報告もあり、広がりが懸念されています。

 この原因の一つが、ゴミや不用意な餌やりで人間の食べ物を食べてしまうこと。油分や塩分、糖分などの多い食べ物を食べることで下痢になり、抵抗力が落ちてしまうのです。

 今回ツイートした知床世界遺産センターのスタッフも「普段はふさふさの尻尾が、毛が抜け落ちて、細い木の棒っきれみたいになっているキツネを見たことがあります。本当にかわいそうで、でも何もしてあげられない。やるせない」。

 自然のバランスは、簡単に壊れてしまうもの。たった一瞬の「まあ、いっか」で、なのです。

(まいどなニュース・広畑 千春)

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