ハリネズミが好きすぎて…専門店をオープンした女性 チクチクでモフモフの小動物に会えるサロンを開設

背中はするどい針に覆われながらも、腹はやわらかな毛をまとったヨツユビハリネズミ。そんなチクチクでモフモフの小動物に会える「ハリネズミの隠れ家サロン」が11月、神戸市北区の住宅街にオープンした。開設したのは、近くでハリネズミ専門店を営むブリーダーの古謝麻里さん。ハリネズミたちの顔や仕草のかわいさのほかにも、サロンを通じて伝えたいことがあるそうだ。

サロンは住宅の一室を使って営業している。広さは20畳ほど。ふれあい用に約50匹を用意していて、そのうち9匹前後を、それぞれゲージに入れて並べている。じっと眺めて癒やされるもよし、愛らしいポーズを写真に収めるもよしだ。

アフリカのサバンナに生息するハリネズミは夜行性で、臆病な性格だ。ちょっとした物音にも警戒し「ジブジブジブジブ」と、電気ポットの湯が沸いたときのような音を立てながらイガグリのように丸まる。とは言うものの、イヌやネコと同じく、ハリネズミだってひとくくりに語ってはいけない。よくよく見ると、それぞれ個性があって、飽きないものだ。

取材中、一番元気に駆け回っていたのは「ノエル」くん。タヌキっぽい端正な顔立ちと目力が印象的な男の子。好奇心が旺盛で、肉厚のぷりぷりしたお尻を動かす姿に、ハートをわしづかみにされてしまう。

一方、「バームクーヘン」ちゃんは、シャイな女の子。カメラを向けると、うつむきがちなので、いつもにらみを利かせたような表情に。でも素顔はけっこう美人。食いしん坊ゆえのムチムチとしたボディも魅力だ。

「ナッツ王子」くんは、ハリネズミ界で珍しい白い針の持ち主。おっとりマイペースで、愛きょうのある性格は、まさに王子の名にふさわしい。

「セブン」くんは、目のまわりの毛が歌舞伎の隈取りのように色付いた個性的な顔をしている。ただ、ものすごく警戒心が強いので、近づけばすぐに丸まってしまい、なかなかその顔を見せてくれないそうだ。

8月生まれの「ひまり」ちゃんは、赤ちゃん期が終わったばかり。手足を大の字に広げた大胆な寝相に、まだ幼さが残っていて何とも愛らしい。

「サン」くんは、人に慣れた男の子。穏やかな性格なので、シャッターチャンスは多いかも!

古謝さんは、ペットとしてハリネズミを飼ったことをきっかけに、そのかわいさにはまってしまった。獣医学書などを片っ端から読み込み、5年前にブリーダーに転身した。

古謝さんは販売後のアフターケアにこだわる。ダニや真菌などによる肌トラブルを防ぐスプレーや、栄養価の高い専用のえさを開発。動画や写真で健康相談にも応じ、緊急の場合は顧客の自宅を訪問してマッサージなどの処置をすることもあるのだとか。

そこまでするのには、理由がある。テレビドラマやSNSの影響で、近年、ペットとしての人気が高まる一方、まだまだ専門の獣医が少なく、病院に行っても対処できないことが多いからだという。また、ネット上には真偽入り交じった情報があふれており、安易な気持ちで購入し、飼育しきれずに街中に捨ててしまう人もいるという。

サロンでは、ハリネズミを生で見たことがない人に魅力を知ってもらうことはもちろんだが、今、飼育している人たちの悩み相談や情報共有の場にもしたいと考えている。

「うちの子は体が大きすぎるのではとか、こんな癖があるから心配という声をよく聞きます。サロンで色んなハリネズミちゃんを見れば、豊かな個性を実感してもらえるはず。ケージに入れる床材や飼育グッズも充実しているので参考にしてもらえれば」と古謝さん。「子どもたちも大歓迎。命の温かさ、大切さを体感してもらいたい」と話している。

(まいどなニュース/神戸新聞・中務 庸子)

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