白人警官の黒人男性暴行死事件から半年…治安悪化のミネアポリス、現在の街の様子は?

 今年5月、白人警官による黒人男性の暴行死事件「ジョージ・フロイドの死」で注目を集めたミネソタ州ミネアポリス。抗議活動の中心地の警察署が乗っ取られて放火され、パトカーが次から次へと警察署を後にする様子が報道されたのがとても印象に残っています。

 この事件がきっかけで、全米の各地で「ブラック・ライブズ・マター(通称「BLM」)運動の波が起こり、私が住むロサンゼルスでも前例のない抗議デモとなりました。あれから約半年。現在のミネアポリスはどうなっているのでしょうか。

 11月の中旬、ミネアポリスのショッピング街やダウンタウンでは、大統領選挙をめぐる暴動やデモを予測して、店舗のガラス窓を木の板で覆い、バリケードを設置していました。地元のショップオーナーによると、このバリケードは、5月の「BLM」の抗議デモの頃から設置されているそうです。

 街を歩いていて目に飛び込んできたのが、このバリケードの木の板にフロイドさんの追悼やアートが描かれていたこと。そのほかにも、平和を求める祈りの言葉、励ましのメッセージ、マスクを着用したフロイドさんの絵の下に「息ができない」と書かれた壁画、警察を批判するコメントやグラフィティなどが目立ちます。

 さらに、地元のミュージアムは「BLM」のコーナーを特設したり、本屋などの個人店もフロイドさんのアートを飾るなど、街の至るところで彼の存在を感じます。

 5月の抗議デモ以来、ミネアポリスの治安はかなり悪くなり、銃犯罪件数の増加や、警察官の人数が足りず、他州から応援を頼んでいることが地元ニュースでも取り上げられていました。ミネアポリス在住の知人は「パンデミック以来、ダウンタウンは通常の10%程度しか稼働していない。多くの店舗が閉鎖し、まるでゴーストタウンのようだ」と語ります。

 今回、私が宿泊したダウンタウンのホテル周辺も、ほとんどのレストランやお店が閉まっていました。あの痛ましい事件から半年。ミネアポリスの街が1日でも早く回復し、コロナを乗り越えてくれることを祈っています。

(まいどなニュース特約・今井 悠乃)

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