お坊さんはバンジージャンプしても脳波が乱れない?…SNSで話題のエピソードについて、本物の僧侶に聞いた

「偉いお坊さんが脳波計つけてバンジージャンプしたら脳波が全然乱れなかった」というエピソードがSNS上で話題になっている。

このエピソードを紹介したのは中国語教師の夏季老师さん。夏季老师さんはお祖母さんが亡くなりひどく気落ちしている時にお坊さんからこのエピソードを聞き、心が軽くなったのだという。

   ◇   ◇

▽夏季老师さんのツイート

先日お坊さんに質問できる機会を得たので「死ぬのって怖いですか?」と聞いたら「わかんないですねぇ。でも偉いお坊さんが脳波計つけてバンジージャンプしたら脳波が全然乱れなかったんですよ。だから死の恐怖は乗り越えられると思っています。」という予想外の回答をもらってとても満足しました。

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このエピソードを聞いた時の状況について夏季老师さんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):このエピソードをお聞きになった時の状況をお聞かせください。

夏季老师:祖母の葬儀で、お坊さんと2人で話す時間があったので「死ぬのって怖いですか?」と質問しました。その答えがこのエピソードだったんです。

中将:このエピソードを聞かれてどう思われましたか?

夏季老师:心が弱っている私には、肩の力が抜けるような気持ちでした。質問の回答というよりは、私の気持ちを和ませてくれたんだと思います。いきなりバンジージャンプの話が始まって、頭に「??」が出ました。私は語学講師をしていますので、大勢の前で話すことがあるのですが、あとになって考えるとこれもお坊さんの話のテクニックだなぁと感じました。

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▽「夏季老师」プロフィール

日本人中国語教師。

YouTubeチャンネル「夏季老師の日本人のための中国語」で中国語の発音や勉強のコツを発信中。

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このエピソードは、あえて飛躍した話題を提供することで少しでも夏季老师さんの悲しみをまぎらわせようというお坊さんの心遣いだったようだ。しかし、悟りを開いたお坊さんなら本当にバンジージャンプしたり死の危機に瀕しても心が乱れることはないのだろうか?この疑問について浄土宗の尼僧で仏教伝道ライブでも活躍する光誉祐華(こうよ ゆうか)さんにお話をうかがってみた。

中将:光誉さんは長年仏教の教えを学んでおられますが、死への恐怖についてどう考えておられますか?

光誉:ある布教師さんが例えで「行き先がわからず電車に乗っているのと、行き先がわかって電車に乗っているのでは安心感が全然違う」と話していました。浄土宗は端的に言うとお念仏を唱えて極楽浄土へ行くという教えです。よく「死んだらそれで終わり。今楽しむべき」と言う人がいますが、元気なうち、若いうちはそれでいいけど、いよいよ死が差し迫ってきた時にみんながそう言っていられるのでしょうか?

中将:状況による心境の変化はあるでしょうね。年をとって信心深くなる人が多いのはそういうことかもしれないですね。光誉さん自身は死への恐怖はないですか?

光誉:私自身はお念仏をしていれば極楽浄土へ行けると思って生きているので、死ぬことへの恐怖はあまりないです。まったくゼロではないですが、何も信仰がない方よりは安心して生きられているんじゃないかと思います。私は5、6年前に体調を崩したことがあって、結果的になにもなかったんですけど、症状をネット検索したら「最悪の場合、余命数カ月」って書いてあったんです。病院に行くまでの間、とても落ち込んで泣きもしましたが「私には信仰がある。最期を迎えても極楽へ行けるんだ」と思うと不思議に平静になれました。

浄土宗では「来迎(らいこう)」と言って臨終のときに阿弥陀仏が迎えに来てくれるということになっています。なぜそれがあるかというと、人間は死を前にすると恐怖や、自分の身体、財産への執着、愛する人との別れの苦しみが顕著になるので「こっちの世界が本当の幸せだからまかせなさい」と助けに来ていただけるんですね。人間は誰しも弱いものなので、絶対的な存在からの救いがあってはじめて克服できることってあると思うんです。

中将:信仰は人間の精神を安定させ補完するための大きな要素になるわけですね。

今回話題になったツイートの「お坊さんがバンジージャンプしても脳波が乱れなかった」というエピソードについてはどう感じられますか?

光誉:バンジージャンプと死への恐怖とでは少しベクトルが違うのかなと思います。「お坊さんは達観してる」というイメージがあるかもしれませんが、そこは同じ人間なので、歩いてて急に驚かされたらびっくりしますし…私はバンジージャンプしたら脳波乱れると思いますよ(笑)。

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▽「光誉祐華(こうよ ゆうか)」プロフィール

浄土宗西迎院副住職

総本山知恩院布教師

若者が佛様とご縁を結ぶ架け橋になれるよう、平成19年より愛$菩薩(あいどるぼさつ)という名で歌と法話で仏教伝道ライブを始める。 

音源に合わせてお経を称え、曲間には法話、仏教的な意味合いを込めたオリジナル曲を歌唱。 平成29年7月、法名である光誉祐華に改名。

・ライブ情報

「遊方噺」

2020年11月15日(日)

出演者:月亭遊方、月亭希遊、光誉祐華

会場:落語喫茶 古々粋亭(ここいきてい)

奈良市小西町9川村ビル2F

2020年12月20日(日)

出演者:寅、光誉祐華ほか

会場:木屋町DEWEY

京都市中京区河原町三条下ル2丁目山崎町246 クラリオンビル地下1階

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お坊さんは信仰心と修行の積み重ねにより死への恐怖は克服できるようだが、驚いたり慌てたりすることは往々にしてあるようだ。夏季老师さんのツイートで紹介されたお坊さんは僧侶としての修業のほかにゴルゴ13のような特殊訓練を積んだ方なのかもしれない。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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