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薬物は一般社会にあふれている、会社員、学生、主婦も…沢尻容疑者は特別なのか

 女優の沢尻エリカ容疑者(33)が合成麻薬MDMAを所持したとして、警視庁に逮捕されてからおよそ2週間がたった。東京地裁は26日に勾留延長を認め、当局による調べが続いている。勾留期間中、弁護人は一般的にどのような活動をするのか。元アイドルとして歌手デビューを果たし、芸能界に在籍した経験を持つ平松まゆき弁護士にQ&A方式で解説してもらった。

■保釈はされるのか

 Q このたび勾留延長決定がされましたが、そもそも勾留中にはどのような弁護活動がなされるのですか?

 A まずは黙秘権や接見交通権(弁護士等に会い又は書類や物の授受をする権利)などの被疑者にとって重要な権利の説明をします。そのうえで、弁解を聞いて弁護方針を打ち合わせしたり、家族や勤務先との連絡を取ったり、或いは被疑者を励ましたりします。また、勾留中に捜査機関による不当な取調べが行われていないか、自白を強要されていないか、などのチェックも行います。

 Q 被疑者を勾留中に釈放するためにはどのような弁護活動が考えられますか?

 A 一般論としては、勾留決定又は勾留延長決定の取り消しを求める「準抗告」ではないでしょうか。準抗告という制度は、かつては申し立ててもほとんど認めてもらえないので、やるだけ無駄と考える弁護人が多かったと言われています。しかし、近年は積極的に準抗告に挑む弁護人は増えてきている印象です。たとえば「(高齢等の理由により)長期に及ぶ身体拘束は酷」「社会的責任ある立場なので逃亡のおそれはない」「在宅事件にすれば十分」などと考えられる場合には準抗告をすべきと考える弁護人が少なくないと思います。

 Q 今回の事件の場合、弁護人が準抗告をすることが考えられますか?

 A 考えられないわけではありません。私も弁護士1年目に担当した同種の薬物事件で準抗告をしてこれを認めてもらい、在宅事件にして被疑者をいったん家に帰したことはあります。ただ、薬物事件は関係者に接触し、口裏合わせをする可能性があるという意味で、とりわけ「罪証隠滅のおそれがある」と指摘されがちです。ですから薬物事件で準抗告が認められる確率はかなり低いのが現実です。

 Q 保釈は認められる可能性はありますか?

 A 保釈は被告人(起訴された段階で被疑者から被告人という呼び方に変わります)が一定の保証金を納めるのと引換えに、被告人の身柄を釈放する制度ですから、保釈の請求があれば特別の事情がない限りは認められます。

 Q 「芸能界と薬物」について思うことがあれば教えて下さい。

 A 芸能界には薬物が蔓延していると言われがちですが、実は薬物は私たちの身近にあふれています。何も芸能界だけが特別というわけではありません。実際私が薬物犯罪の弁護を担当するとき、「なんであなたが!」と疑わずにはいられないほど、本当にどこにでもいるような会社員、学生、主婦で、過去に犯罪とは無縁だった人々が薬物に手を染めてしまっていることに驚かされます。一般社会における薬物問題もかなり深刻です。曲がりなりにも芸能界にいた身として思うことは、沢尻さんのように売れっ子として輝き続けるということがいかに難しいかということです。そこには想像もつかないほどのプレッシャーやストレスがあったことは間違いありません。でもだからといって薬物に逃げることは許されませんし、薬物は絶対に救いにはなりません。必ず自分を滅ぼします。依存性が認められるのであればしっかり克服して、社会(芸能界に限らず)復帰してほしいものだと思います。

◆平松 まゆき 弁護士。大分県別府市出身。12歳のころ「東ハトオールレーズンプリンセスコンテスト」でグランプリを獲得し芸能界入り。17歳の時に「たかが恋よされど恋ね」で歌手デビュー。「世界ふしぎ発見!」のエンディング曲に。20歳で立教大学に入学。芸能活動をやめる。卒業後は一般企業に就職。2010年に名古屋大学法科大学院入学。15年司法試験合格。17年大分市で平松法律事務所開設。ハンセン病元患者家族国家賠償訴訟の原告弁護団の1人。

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