お洒落な手作りシュシュが似合う、長崎名物「ざぼん漬け」店のシニア看板猫

 長崎市諏訪町にある創業100年以上の老舗菓子店「くろせ弘風堂」は、柑橘類の一種、ざぼんに砂糖をまぶした長崎の伝統的な銘菓「ざぼん漬け」で有名な店。小春日和のなか、店先で気持ちよさそうに居眠りをしているのはシニアの看板猫「クッキー」(オス、17歳)。道ゆく人々を眺めて17年になる。店主の妻で飼い主の黒瀬寿(ひさ)子さん(73)に、クッキーのことを聞いた。

 寿子さん:この子は、2002年3月15日、近くの市場で捨てられていたところを拾ってきたんです。まだ手のひらに乗るくらいの大きさで、母猫のことも知らず、鳴き方もよくわからないといった感じでした。スポイトで猫用のミルクやお水を飲ませて育てたんですよ。昔は外人さんが日本のお菓子のことを「ジャパニーズクッキー」と呼んでいたので、それにちなんで「クッキー」と名付けました。

 主人も猫好きで、うちは昔から猫がいなかった時がないくらい。ただ、この子が来る前、それまで飼っていた猫が5歳くらいで早逝してしまってねえ…なんでもっと生きられなかったのか、私の飼育が下手だったのかと反省しました。それで、この子を迎えたのですが、猫の飼い方の本を勉強したり、飼育に詳しい先輩方のアドバイスを真剣に聞いたりしました。

 長寿のために気をつけていることはいくつもあります。室内飼いをする、定期的にノミダニ予防をする、朝起きたら新鮮な水をあげる、急な飛び出しを防ぐためリードをつける、毎日、外へ散歩に連れていく、排泄物をみて、快食、快便であるかチェックするなどなど。

 クッキーを飼い始めたとき、動物病院の先生から「これがクッキーのだよ」と健康手帳をいただきました。体重をはじめ、今日は病院に行くとき元気なかったとか、今日は下痢したねとか、気づいたことがあると、この手帳にこれまでずっと書き込んできました。元気なクッキーの姿をみるのが毎日の楽しみ。それが私の生きがいでもあるんです。

 江戸の鎖国時代、長崎・出島は貿易船の国内唯一の玄関口でした。中国からやってくる船には、船員の栄養補給のためにざぼんが、船の重しがわりに砂糖が、お守りとして乗せてあったそうです。出島で幕府への献上用に作られたのが、ざぼん漬けです。

 伝統的な自家製ざぼん漬けは手間がかかることもあり、いまは作る人が減ってしまって、長崎でも珍しくなりました。それもあって、ざぼん漬けを買いにこられる人よりも、「クッキーに会うのが楽しみ」といって来られる人の方が多いです(笑)。

 なんかね、いまはもう私や家族だけのクッキーではなくなってきましたよね。17年もここで看板猫をやってると、小学生から高齢の方々まで、道ゆく人たちが声をかけて可愛がってくれてますしね。昔、小学生だった男の子が、20代半ばの立派な青年になって「クッキーちゃん、いまも元気なんだね。また会えて嬉しいよ」と声をかけてくれることもありました。

 だから、クッキーに会うのを楽しみにしてくださっているみなさんのためにも長生きしようねって、クッキーに言っています。首につけるシュシュはね、正月用、ランタンフェスティバル用、長崎くんちの時はくんち用、クリスマス用など、季節にあったものを私が手作りしているの。何歳になってもお洒落は大事ですからね。最近は丸まって置物みたいに部屋で寝ていることが多くなったけど、今も地面から棚の上に飛び乗りますし、足腰は健在。人でいう百寿を超えても、快眠、快食、快便で長生きしてほしいです。

(まいどなニュース特約・西松 宏)

【店名】くろせ弘風堂

【住所】長崎市諏訪町8-4

【電話】095-822-3602

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