ターミネーターファン注目の「究極のレプリカ職人」 こだわりは「オーラの再現」
公開中の「ターミネーター」シリーズの最新作「ターミネーター:ニュー・フェイト」。アーノルド・シュワルツェネッガー演じるT-800はおじいちゃんサイボーグとして登場し、圧倒的な存在感を放っていると話題となっている。そのターミネーターのレプリカ作りで「究極のレプリカ職人」として世界中のターミネーターファンから注目されている人物が国内にいる。愛知県名古屋市にある工房を訪ねた。
取材前はこだわりのある作品を産み出すとあって、きっと職人気質で気難しい人なんだろうと想像していたが、「おはようございまーす!」と明るい声で想像を裏切ってくれた。さわやかな笑顔で現れたのは、T-STUDIO 造形作家のハタナカマコトさん。本業の傍、2年半をかけて「動くターミネーター」の開発に成功したのが2012年。T-STUDIOのサイトに公開したところ、世界中のターミネーターファンから注目を浴び、絶賛されることになった。
ファンからは「究極のレプリカ」と呼ばれている。取材当日も、ちょうど金沢から製作依頼をされたご夫婦が工房を訪れていた。「ハタナカさんは唯一無二の存在です。死なないでくださいね!」。そんな声を掛けられ「ありがとうございます。よく言われます」と嬉しそうに笑顔を見せたハタナカさんに話を聞いた。
--過去にはどのような作品がありますか?
「ターミネーター関連が9割を占めますが、稀に仮面ライダーなどの和モノ特撮関連やエイリアン、アイアンマンなどを作ったことがあります」
--製作にかかる期間は?
「早いものでも半年、大きな物になると3年ほどかかる場合がありますね」
--大体の金額を教えていただけますか?
「数十万から大きいものだと数百万になるものもあります」
--素材は?
「基本的に一般市販品をベースにした改造が中心となりますので、樹脂製が多いです。一部アルミやステンレスを使うこともありますが、樹脂にメッキしたり金属調塗料を使って仕上げています」
--製作に苦労されたことはありますか?
「どこまで追求するのか?ということですね。世の中に色々なレプリカがありますが、おもちゃのようにならないように、映画や資料を徹底的に研究しています」
--今までの依頼の中で困った注文はありますか?
「『金額はいくらかかっても良いので、ハタナカさんに全てお任せします』と言われるのは困ってしまいますね。僕個人の価値にお支払いしていただくのではなく、お金はあくまで手掛ける作品への対価です。依頼された内容を元に、本物の小道具のようなオーラを再現するということが自分の役目だと思っていますので」
--ハタナカさんの強みは何ですか?
「技術と探究心です。妥協せず、こだわり抜く姿勢は、本業でもT-STUDIOでも変わらないですね。自分の好きなことですし、作る工程が楽しみなんです。でも、出来上がった作品を手元に置いておこうという気はあまりないので、人に譲ってしまうんですね。ちなみに自分が一番初めに作った動くターミネーターは、今はスイスにあります」
--シュワちゃんとの思い出話を聞かせてください
「2015年に映画プロモーションのため来日された際に、いわば「日本のターミネーターファン代表」として対談させて頂きました。話を頂いた時は半信半疑でしたが、本当に会えたらいいなと願いながら当日持参するためのスカルを2体製作しました。そしたら念願叶い、ひとつはシュワちゃんへプレゼントして、もうひとつは自分用にサインをしてもらい、今でも大切に保管してあります。優しく、気遣いが素晴らしい、さすがの人格者だというのが今でも記憶に残っています」
小学校低学年頃から大人向けの模型製作に興味を持ち、プラモデル製作では同学年の友人たちの中でも群を抜いての出来栄えを見せた。思春期の頃になると「造形を仕事にしたい」という情熱を抱き始め成長したというハタナカさんはおじいちゃんサイボーグとして進化したシュワちゃんと同様、今も進化を続けている。
(まいどなニュース特約・AYA)