幼い頃から動物に触れる機会が多いと犬猫アレルギーのリスクが下がる!?

 スウェーデンの研究で、幼少期から犬や猫に触れる機会が多い人ほど、将来、犬や猫アレルギーになりにくいという結果が出たそうです。大阪の太融寺町谷口医院の谷口恭院長に話を伺いました。

■花粉症と犬・猫アレルギー

 --犬や猫アレルギーで悩んでいる人は多いのでしょうか。

 谷口恭院長(以下、谷口) 患者さんは、決して少なくありません。なかには、トリマーやペットショップの従業員など、動物と接する仕事をしている人もいます。簡単に別の仕事に就くわけにもいきませんし、もともと犬や猫が好きで、その仕事を選んだ人が多いので、プライベートでも犬や猫を飼っている人が多いのです。

 --犬や猫に長時間接していると、アレルギーになりやすいのでしょうか。

 谷口 犬や猫に接している時間が長いと、アレルギーになりにくいように感じられますが、じつは逆なんです。これは花粉症と同じメカニズムなのですが、同じ抗原に何年も触れていると、それまでは何の症状もなかったのに、ある時を境に人体は、抗原を“敵”とみなします。敵を攻撃すると拒絶反応が起こり、眼や皮膚のかゆみ、発疹、咳などの症状が現れるのです。

 --花粉症の人が花粉を避けるように、犬や猫アレルギーの人も動物に触れる時間を短くしたらいいのでしょうか。

 谷口 花粉症の場合、発症を予防するには、できるだけ花粉に触れないようにするのが一番です。発症してしまった場合も、マスクをしたり、服や髪の毛についた花粉を家に入る前に落としたりして症状を和らげます。犬や猫アレルギーの場合も、動物に触れる時間を可能な限り短くすることが望ましいでしょう。

■幼少期から犬や猫に触れていると、アレルギーを発症しにくい?

--幼い頃から動物に触れていると、アレルギーのリスクが低下するという論文があるのですか。

谷口 「早い段階でペットに触れていれば動物アレルギーのリスクが低下する」という論文が、医学誌『PLOS ONE』2018年12月19日号に掲載されたのです。早い段階で、というのは“幼少期”ということです。

 これは、スウェーデンで行われた研究で、7~8歳の小児1,029例、8~9歳の小児249例を対象にした研究です。生後1年以内の乳児期の時に、室内で犬や猫を飼っている家庭で過ごすと、喘息や鼻炎、湿疹などのアレルギー症状を発症しにくいという結果が出たそうです。その傾向は、ペットの数が多いほど顕著になることも分かりました。ペットがいない家の子供は、49%がアレルギーを発症したのですが、5匹以上ペットを飼っている家の子供は、誰もアレルギーを発症しなかったのです。

■ペットを飼う前に、アトピー性皮膚炎などをきちんと治しておく

 --幼少期に動物と触れ合って育つと、なぜアレルギーを発症しにくいのでしょうか。

 谷口 理由は、まだ解明されていません。

 食物アレルギーの場合、以前は、アレルギー反応を起こす食品をできるだけ摂取しないほうがいいと言われていたのですが、近年、積極的に摂取したほうがいいと考えられています。ただし、単にアレルギーを発症する食べ物を食べればいいというのではなく、乳幼児に、「アトピー性皮膚炎などの湿疹をきちんと治してから」、アレルギーの原因になる食べ物を食べることが重要です。

 --犬や猫のアレルギーも、食物アレルギーと同じメカニズムかもしれませんね。

 谷口 乳児期にアレルギー性の湿疹や呼吸器疾患などが疑われる場合は、その治療や予防をきちんと行ってから、動物を飼うべきでしょう。

(まいどなニュース特約・渡辺陽)

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