テレ東「家、ついて行ってイイですか?」5年間で声がけした総数は!?名物P明かす

 終電を逃した時、自宅までタクシーで送ってくれるという話にあなたは乗りますか?ただし、テレビのインタビューを部屋で受けるという条件で…。

 そんな独自の切り口による番組「家、ついて行ってイイですか?」が今年で放送開始から5年の節目を迎えた。制作するテレビ東京(以下テレ東)のディレクター兼プロデューサー・高橋弘樹氏が著書「1秒でつかむ」(ダイヤモンド社)を世に出したタイミングで、その舞台裏やテレビの世界以外でも応用できる視点を聞いた。

 2014年1月の開始当初は深夜帯。16年からゴールデンタイムとなり、6期目の現在はテレ東系で水曜夜9時からの1時間枠(地域によって別時間帯)に。回数は今年3月で約140回になるが、これまで何人に声をかけてきたのだろうか。

 高橋氏は「月に500班がロケに出ているので、1年で約6000回のロケをしていることになる。1回平均で15人くらいに声をかけると想定し、1年で延べ9万人になります」と明かした。新国立競技場(最大8万人)を上回る人数である。

 「ネットで“やらせ”って書かれるんですが、逆に光栄です。ガチだと信じられないほど“かつて見たことのない面白い番組”の証(あかし)ですから」。高橋氏は実感を込めた。「いけそうと思っていけない時もあるし、ダメだと思ってOKだったり。あるディレクターは週2回ロケに出て、1回目で52組、2回目で58組に声をかけてゼロだった。立ち止まってくれなくてきついですね。冬は特に」。水面下での労力の積み重ねからドキュメンタリー性のある600人以上ものリアルな人間模様が描かれた。

 高橋氏は1981年、東京生まれ。早大から05年に入社し、制作現場一筋を歩む。「1秒たりとも、飽きないで観てもらいたい」。その方法論として「千利休式『引き算』力」など32の技術を紹介しているが、その中から「バランス崩壊力」に焦点を当ててみよう。

 仮に他局の番組制作費が予算3000万円で、テレ東が1000万円だとする。タレント出演費、ロケ予算など5項目を均一に割ると他局が各600万円に対し、テレ東は各200万円。ならば、バランスを壊す。テレ東はロケ予算を8割の800万円とし、タレント出演費などは100万円に抑え、スタジオ予算などは0円に。ロケのクオリティだけなら他局を上回る。実際、「世界で一番多い」と言われる約70人のディレクターが携わる。

 バランスを壊すことで、こだわりの部分を特化する。その姿勢は私たちの日常生活にも応用できるはずだ。

 例えば、高橋氏の場合はこうだ。「お金は本と食事にかけ、服は何年も買わない」「入社3年目の頃、短い休みに弾丸旅行するお金を捻出するために、新宿区内で見つけた家賃1万1000円の2畳部屋に住むという“プレー”をした」「3年前に結婚し、それまで時間を費やしていた酒をやめて家族と過ごす時間にあてた」

 「プレー=楽しむ」。そんな発想が番組にも生きている。(デイリースポーツ・北村泰介)

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