何かと話題の「スプレー缶」 狭い場所での防水スプレーが危険な理由

 札幌市豊平区で16日夜に発生した爆発事故を受け、スプレー缶の使い方に関心が集まっているが、ガスによる爆発だけでなく「防水スプレー」の利用方法に注意を呼びかけるSNS投稿が話題になっている。吸い込むことで呼吸困難となり入院するケースもあるためだ。雨や雪など天気がぐずつく冬場は使う機会も増えるため、一層気をつけたい。

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 ツイッターでは注目されているのは、防水スプレーについて「狭い場所(部屋とか車の中とか)で撒いて、その結果、呼吸器系をやられて死ぬってことがあるので皆さん注意してくださいね」とつぶやいている投稿。

 関心の集まりを裏付けるように、医師や一般の人たちから相談を受け付けている「日本中毒情報センター」によると、防水スプレーに関する問い合わせは近年増加件数にあり、2016年は61件、2017年は90件にのぼっている。

 防水スプレーは衣類や傘、靴、かばんなどに吹きかけ、雨水などをはじくはっ水加工が手軽にできる製品だが、内容物はフッ素樹脂やシリコン樹脂など、水をはじく成分を溶剤に溶かしたものだ。スプレーの細かい粒子を誤って吸い込むと、樹脂が肺の中に付着してしまい、呼吸の機能に支障をきたすことになる。加えて溶剤の刺激なども加わり、せきや息苦しさ、頭痛、発熱などの症状が起きる。呼吸困難や肺炎を起こして入院が必要となることもあるという。

 厚生労働省が16年12月に出した報告書では、閉め切った室内でレインコートに防水スプレーをしていた70歳の女性が、肺炎を起こし1週間入院。酸素吸入などの治療を受けたケースなどが紹介されていた。同センターによると、過去の事故はスキーシーズンに集中しており、雨や雪の季節に事故が起こりやすいといわれているが、最近は製品の多様化もあり、季節を問わずトラブルが起きているらしい。

 防水スプレーを吸い込む事故を防ぐために、同センターでは次の点に注意するように促している。

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(1)使用前に製品表示、特に「使用上の注意」をよく読んでから使用する

 どんな製品でも、正しく使用しないと健康被害が出る可能性がある。製品の説明書きをよく読み、よく理解した上で使うこと。

(2)マスクを着用し、必ず風通しの良い屋外で使用する

 屋内や車内など、閉ざされた場所では使わない。屋外で使用していたにもかかわらず、風向きが変わり吸い込んでしまったケースもあるので注意。マスクは目に見える程度の粒子を吸い込まないものであれば問題ない。

(3)周囲に人、特に子どもなどがいないことを確認してから使用する

 スプレーの細かい粒子は思ったよりも広がるので、近くにいる人も吸い込む可能性がある。特に子どもの場合は背が低く、落ちてきた細かい粒子を吸い込む可能性が高いので配慮が必要。

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 万一吸い込んでしまった場合は、早めに医療機関などに相談したい。同センターは「特にせきや息苦しさがある場合は、すぐに受診したほうが良いと思います。症状がなくても、換気の悪い場所で大量に吸入した可能性があれば、受診することをおすすめします」と呼びかけている。

 日本中毒情報センター・中毒110番電話サービス:大阪=365日 24時間対応=072-727-2499、つくば=365日 9時~21時対応=029-852-9999(神戸新聞・川上隆宏)

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