あれから8年…故三沢光晴さんの悲劇は今に生かされているのか

09年6月13日、試合中の事故で急逝したプロレスラー・三沢光晴さん。あれから8年が経ちました。あの時、二度と悲劇を繰り返すまいと色んな人々が動いたはずです。その教訓は今に生かされているのでしょうか。

公開日:2017.6.13

09年6月13日、ノア広島大会で起こった悲劇

2009年6月14日デイリースポーツ一面

【2009年6月14日デイリースポーツ紙面より】 日本プロレス界の頂点に君臨する現役レスラーで、プロレス団体「ノア」の社長を務める三沢光晴さん(46)が13日午後8時45分ごろ、広島市の広島グリーンアリーナで行われた大会の試合中、相手の技を受けて頭を強打。心肺停止状態となり、広島大学病院に救急搬送されたが、広島県警によると、同10時10分に死亡が確認された。
(中略)
 三沢さんはノアの広島大会のメーンで午後8時10分ごろ始まったタッグマッチに出場したが、約30分後、相手選手が背後から抱え上げて後ろに倒れ込む技「バックドロップ」をかけられ、頭を強打。意識を失い、試合はレフェリーストップとなった。
 三沢さんはすぐに病院に運ばれたが、間もなく死亡が確認された。広島県警は試合関係者らから事情を聴き、当時の状況を調べている。
 目撃した選手は「バックドロップをくらって何も言わなくなった。AEDをやったり、救急隊員が来ても全然リアクションがなく、ピクリともしないまま担架で運ばれた」と証言。病院で対応した団体広報は「(死亡)原因は不明。それ以上は分からない」と語った。ホテルで待機していた選手は大黒柱の訃報(ふほう)に衝撃を受けた。
 バリバリの“4番打者”を襲ったまさかのリング禍。関係者は、これまで三沢さんが長年の蓄積疲労で満身創痍(そうい)だったことを明かす。特に首の古傷は深刻で「だましだまし試合を行っていた」という。全日本時代は小橋、田上、川田と「四天王プロレス」と呼ばれる完成度の高い試合を展開。相手の危険な技をすべて受けきる高度な受け身が信条だった。1981年のデビュー以来、その疲労が蓄積していたのかもしれない。

レスラーに、ファンに…広がった悲しみの渦

「三沢さん急逝」のニュースに、レスラーやファンに悲しみが広がっていきました。

2009年6月15日デイリースポーツ紙面

【2009年6月15日デイリースポーツ紙面より】 三沢さんの急逝から一夜明けた14日、新日本の後楽園大会で第1試合前、1分間の黙とうがささげられた。ノアから参戦中の菊地毅が遺影を持って青木篤志とリングに上がり、リング外を取り囲んだ新日本勢やDDTの飯伏幸太(27)らと冥福を祈った。
 三沢さんとゼロワンの旗揚げ戦で初対決し、GHCタッグ戦などで激突した永田裕志は「業界の頂点に立つ三沢さんが、格は抜きにして堂々と受け止めてくれた。心が広くて大きな人。エルボーは首に受けたら胸骨まで響いた」と追悼。今年の1・4東京ドーム大会では「あいさつして、だいぶん疲れている印象を受けた。あまり(体調が)良さそうには見えなかった」と振り返った。
 1・4が唯一の対戦で、三沢さんと最後に戦った新日本勢の中邑真輔は「(体調が)悪かったとは聞いていたが、戦っている最中には感じなかった。真っ向勝負でノーガードで立ちふさがられて、懐の深さを感じた」と語った。
 社長同士、最近の協調体制を築いてきた菅林直樹社長は「プロレス界を盛り上げよう、隆盛を取り戻そう、と話し合っている途中だった。途切れることなくやっていきたい」と路線継続を約束。「気苦労は多かったと思う。私は運営だけだが、三沢社長は試合もされていて、重圧はかなりのものだったと思う」と兼業の重責を指摘した。

手を合わせ三沢さんの冥福を祈るファン=2009年6月14日

 【2009年6月15日デイリースポーツ紙面より】 三沢さんの急逝から一夜明け、東京・有明のノア事務所は扉が閉ざされ、目張りが施されて、時折、数人の社員が出入りするだけだった。7月シリーズを告知するポスターに載った三沢さんの写真の下に、訃報(ふほう)の紙を張った社員は「昨日できあがったばかりだったのに…」と、肩を落とした。
 事務所には、訃報を聞いて深夜に駆けつけた女性などファンが次々に訪れた。事務所が入っているディファ有明の受付に供物を託したり、駐車してある三沢さんの愛車BMWに花束や手紙、折り紙の花などを手向けて冥福を祈った。
 横浜から家族とともに訪れた30代の男性会社員は「全日本のころから好きでした。現実として受け入れられません」と、車に花束を手向け、手を合わせていた。
 また、搬送先の広島大学病院には、一夜明け、親子連れを含む約10人のファンが駆けつけた。三沢さんの遺体が納められた車が出発する際は、「ミサワー!!」と声を上げるファンも。試合会場の広島グリーンアリーナには、花束やお茶、水のペットボトルが置かれていた。広島市内の男性団体職員(44)は、広島グリーンアリーナに酒と写真を手向け「写真はノアを旗揚げして、初めて広島にトークショーに来たときのもの。写真の裏に『あなたのことは忘れません』と入れた」と声を落とした。

残念ながら心ない行動を起こす人も…

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