「ボクシング・ＷＢＣ世界バンタム級王座決定戦」（２４日、トヨタアリーナ東京）

　試合前会見が２１日、都内で行われ、ＷＢＣ世界バンタム級１位の那須川天心（２７）＝帝拳＝と同級２位の井上拓真（２９）＝大橋＝が出席した。テーブルに置かれたＷＢＣベルトを挟んで隣に座った両者は、約３０分間で一度も目を合わせることなく臨戦態勢。キック時代から無敗で満を持して世界初挑戦の天心か、１年１カ月ぶりの再起戦で王座返り咲きを狙う拓真か。ボクシングファンの期待や結果予想を二分する注目の一戦まで、いよいよ残り２日となった。

　天心は会見場に着席すると、大一番への緊張をほどくように大きく伸びをした。「（準備を）よどみなく全てやってきて、（試合で）いつ何が起こってもいい状況」。卓上には実物のベルトが飾られたが「目の前で見るとワクワクというか、たぎるものが生まれてきている」と発奮。「やるべきことはやってきた。自分を全て出すだけ」と自信をのぞかせた。

　ボクシング転向２年半の元神童は「今回僕が勝った方がボクシング界は面白くなる」と発言してきた。報道陣からは今回勝利した場合、兄の井上尚弥（大橋）戦を目指す可能性もあるのかと問われたが「試合前にあおりすぎ（笑）。勘弁してください」と苦笑い。「まずはベルトを取ってから。そっから無限の可能性が広がる。（展望を）今言っても説得力もないので」と大きな青写真は胸の内にとどめた。

　元世界王者の“イノウエ”との大勝負。「僕が勝てば時代を変えられる。（この試合は）ボクシングだけじゃなく、世の中の時代が変わる一つの分かれ道。それくらいの気持ちで戦う」。権威に挑む異端児は、あえて大風呂敷を広げた。