田中恒成 世界4階級制覇 デラホーヤ超え!史上最速21戦目 見据えるは統一戦&井岡へのリベンジ

 「ボクシング・WBO世界スーパーフライ級王者決定戦」(24日、両国国技館)

 WBO世界スーパーフライ級王座決定戦で同級1位の田中恒成(28)=畑中=は同2位のクリスチャン・バカセグア(メキシコ)に3-0で判定勝ちし、4階級制覇を果たした。21戦目での達成は元世界6階級制覇のオスカー・デラホーヤ(米国)の24戦目を抜く世界最速。

 田中の表情がゆっくりと緩んだ。井岡にプロ初黒星を喫した2020年大みそかの世界戦から3年2カ月。待ち望んだ4本目の赤いベルトに「これが欲しかった。うれしいです」。万雷の拍手に包まれながら、短い言葉に実感を込めた。

 文句なしの完勝だった。序盤は左の差し合いで距離を把握。左ボディーを何度も効かせると、8ラウンドには左右のラッシュからダウンも奪った。守備では細かく体を振って、致命的な被弾は0。判定勝ちでデラホーヤを抜く、史上最速の21戦目で4階級制覇を達成した。

 両国国技館は2歳上の兄・亮明が東京五輪で銅メダルを獲得した地。コロナ禍で無観客開催だったため、恒成は地元の多治見市役所からモニターで声援を送った。井岡に敗れて再起を目指す中でメダルを渡され「こんなに重いんだ」。頭に浮かんだのは、リオデジャネイロ五輪代表を最終予選で逃し、教員と両立しながらたった一人で拳を磨いてきた兄の姿。質量以上に感じた重みが、自身がはい上がる力になった。

 次に見据えるのはIBFの統一戦、そして井岡へのリベンジだ。「自分の強さを証明する。その上で2本(のベルト)をかけて、リスペクトの気持ちで(井岡と)戦いたい、と言いたい」。デビュー5戦目で世界のベルトを巻いてきた“スピードスター”が、またここから新たな1歩を踏み出す。

 ◆田中恒成(たなか・こうせい)1995年6月15日、岐阜県多治見市出身。アマチュア戦績は51戦46勝5敗。2013年11月にプロデビュー。14年に東洋太平洋ミニマム級王座、15年に日本最速の5戦目でWBO世界ミニマム級王座、16年にWBO世界ライトフライ級王座、18年にWBO世界フライ級王座、22年にWBOアジア・パシフィック・スーパーフライ級王座を獲得。身長164センチ、リーチ164センチ。右ボクサーファイター。兄の田中亮明は21年東京五輪ボクシングフライ級銅メダリスト。

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