那須川天心の父・弘幸氏が息子を語る 小4時からの二人三脚「世界一強くしてやる」
「ボクシング・6回戦」(8日、有明アリーナ)
プロボクシングに転向してデビュー戦に臨んだ那須川天心(24)=帝拳=が日本バンタム級2位の与那覇勇気(32)=真正=をスピードで圧倒、3-0の判定勝ちで初陣を飾った。
必死に両腕を振る姿に胸が熱くなった。リングサイドで見守った「TEPPEN GYM」の会長で父の弘幸氏(53)は「まあ、厳しく育てたから。俺は褒めたことがないし、本人がよく耐えたから、今があるんじゃないかな。よくやってますよ」。手塩にかけて、育ててきた思い出を回想しながら戦った姿をたたえた。
5歳から始めた空手は本来、礼儀を学ばせるためだったが、大会で負けて大泣きする姿を見て父は決意した。「天心が負けるのが異常に嫌で、僕に火が付いてしまったんです。あいつは僕の犠牲者ですよ。俺の自分勝手で育ててきた」。独学で格闘技を学んだ弘幸氏は小4時、天心に「世界一強くしてやる。何があってもついてこい」と約束をかわし、親子二人三脚の世界一プロジェクトが始まった。
ジム開設前の小、中時代は松戸市の体育館をほぼ毎日借りた。自宅に戻り、夜半まで部屋の穴があくほどの猛特訓で鍛え上げた。厳しい父が認めるほど「人より早く打つ空間支配能力にたけていた」という天性の素質もあり、向かうところ敵なしの逸材となった。
昨年の「THE MATCH」では、小4で空手全国制覇を遂げて以来親子で抱き合って泣いた。リングでの勝利マイクで「おやじ、ありがとう」の言葉に「あいつが俺にありがとうと言ったの初めてだから、涙が出ちゃいましたよ」と目頭を押さえた。
キックで頂点に上り詰め、弘幸氏がボクシング転向を勧め、天心も新たな道を決意した。名門帝拳ジムに預けるや「僕が作ったものを本田会長に褒めていただいたが、僕はまだまだと思っている。甘やかさないでいただければとは言ってます」と笑う。天心が新たなボクシングファン開拓の水先案内人になることを願っている。
