井上尚弥 全王座返上で「ここからが本当の戦い」 前人未到2階級4団体統一へ

 ボクシングのバンタム級で日本人初の世界4団体統一王者となった井上尚弥(29)=大橋=が13日、横浜市内で会見し、WBA・WBC・IBF・WBOの全王座の返上と、1階級上のスーパーバンタム級への転向を正式表明した。世界初となる2階級での4団体統一への決意をみなぎらせ、対戦したい相手が4人いることを明かした。偉業へ「まだまだもっと、強い井上を見せていけるように」と力を込めた。

 今年初めて公の場に姿を現した井上が、4本の王者のベルトを前に2023年の新たな野望を明かした。「スーパーバンタム級への挑戦を決意した。ここからは自分よりもでかい相手への挑戦となっていくので、ここから先が本当の戦いになっていく。自分自身、非常にワクワクしている」と目を輝かせた。

 相手が強いほど燃え、これまでも成長につなげてきた。「バンタム級でやり残したことはない。戦いたい相手もいない」。猛者が集うスーパーバンタム級へ照準を合わせ「かなりのタレントぞろいなので、どの選手と戦っても面白い。自分の中でパッと思いつく限りでは4人の選手が挙がってくる」と構想を巡らせた。

 戦う相手については「交渉中なので、名前は避けておきたい。正式発表までしばらくお待ちください」とニヤリ。スーパーバンタム級にはWBA、IBF王者で無敗のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)と、WBC、WBO王者には21戦無敗のスティーブン・フルトン(米国)が君臨している。さらに、IBF1位のマーロン・タパレス(フィリピン)、日本での世界戦前の大幅な体重超過で国内では試合ができないルイス・ネリ(メキシコ)も海外での試合は可能とあり、尚弥にとって心を躍らせる存在が多くいるのは確かだ。

 昨年12月にポール・バトラー(英国)をKOして4団体統一を遂げ、1週間後にはロードワークを再開。昨年末にジムワークを開始した。「僕の顔を見てもらえれば分かるけど、体重的にも整っている。(リミットがこれまでより)1・8キロアップはすごくプラスと思っている。スーパーバンタム級では、もっと安定感あるボクシングができると思っている」と自信を明かした。

 世界初となる2階級4団体制覇への挑戦を「スーパーバンタム級でも、それ(=バンタム級での4年7カ月)くらいの年月がかかると思っていて、これが本当の最終章でもいい」と位置づける。達成後、キャリアを終えてもいいとまで言う。

 4月に30歳を迎え、なおも尽きない向上心。「肉体的にも反応的にもまだまだ上がっていく感覚はある」。23年もアグレッシブに動き、誰もが成し得なかった道を究める。

 ◆井上尚弥(いのうえ・なおや)1993年4月10日、神奈川県座間市出身。相模原青陵高時代にアマチュア7冠。12年10月にプロデビューした。14年4月にWBC世界ライトフライ級王座、同年12月にWBO世界スーパーフライ級王座、18年5月にWBA世界バンタム級王座を奪取し3階級制覇。19年5月にIBF同級王座を奪取し2団体統一を果たした。同年11月にワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ同級トーナメント優勝。22年6月に日本人初の3団体王座統一。同月、日本人で初めて米専門誌「ザ・リング」の全階級を通じたランク「パウンド・フォー・パウンド(PFP」で1位になった。昨年12月にバトラー(米国)に勝ち、アジア勢とバンタム級では初の4団体統一を果たした。右ボクサーファイター。身長165センチ。家族は咲弥夫人と3子。

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