11月引退の豊田真奈美 「大っ嫌いだった」井上貴子との最後の一騎打ちに激勝

 「プロレス・OZアカデミー」(12日、東京・後楽園ホール)

 右肩などの故障のために11月3日に行われるデビュー30周年記念大会(神奈川・大さん橋ホール)で引退する豊田真奈美(46)が、「引退ロード」第1戦で、井上貴子(47)を下した。

 全日本女子時代から30年近く戦いを重ねてきた両者。試合前には、リング上で貴子が「ほとんど30年間、一緒に戦ってきて、大っ嫌いになった時もありましたけど、たぶん、今日、シングルマッチをやるのは最後だと思います。楽しんでやりたいと思います。すべてをぶつけていきます」とあいさつし、握手を交わして戦いが始まった。

 序盤から豊田は、貴子の容赦ない右腕攻撃に悲鳴を上げるなど苦しめられる。それでも、全盛期を思わせるような美しいムーンサルトプレス、ジャパニーズオーシャン・サイクロン・スープレックスなどを繰り出して応戦。貴子のトップロープからの延髄ニー、スタンガン攻撃などの厳しい反撃に耐え、最後はジャパニーズオーシャン・クインビーボムで爆殺した。

 試合後、リング上でマイクを握った豊田は「先に言われたけど、私もアンタのこと大っ嫌いだったの。だけど、全女が大量離脱になって、10名くらいの選手しか残っていないときに、いろんなつらいこととか楽しいこととか、今まで勘違いしてた井上貴子と一緒にいれて、私はあなたのことが大好きになった。だからアンタと一番にやりたかったんだよ」と、引退ロード初戦の相手を引き受けた長年の“戦友”に感謝。

 自身は故障が原因で引退することもあり、「貴ちゃんは体に気をつけて、できる限りファンを楽しませてあげて下さい。貴ちゃん、本当にありがとう」とアドバイスを送り、抱擁を交わした。

 インタビューでは、「きつい」と顔をゆがめた豊田。だが、貴子が手加減することなく攻めてきたことを、「負傷しているから、引退するからって、やさしい試合をしてほしくないし、逆にうれしかった」と満足げに振り返った。

 引退ロードが始まり、リング上で貴子から声をかけられたときには「今まで緊張したことなかったけど、初めて感情がこみ上げて泣きそうになった」とのことで、「1試合目がこれで、残りの試合が見えてきた時点で、もっと心にくるものがあるんだろうね」としみじみ。最後の試合の意向を聞かれると、「自分の体調と相談しながら。弱ってる私で終わるのを、みんな見たいわけじゃないじゃないですか」との考えを示した。

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