米シカゴで１６日に行われたボクシングのＷＢＡ世界スーパーフライ級タイトルマッチで判定負けし、引退を表明した亀田興毅（２８）が１９日、成田空港に帰国し、今後は「自由人」として生きていくことを宣言した。２度目の防衛を果たした王者の河野公平（３４）＝ワタナベ＝も亀田と同便で帰国、喜びをかみ締めた。

　顔の傷を隠すサングラス越しに見える瞳は穏やかだった。「お互い力を出し尽くしていい試合ができた。後悔はないし、ラストと決めていた。きれいさっぱり、これで終わりです。ボクシング人生に何の悔いも残ってない」。亀田はあらためて引退を明言した。

　今後については「サッカーの中田（英寿）さんは『旅人になる』と言ったでしょ。オレは自由人になる」と話した。陰に日なたに支えてきた大毅、和毅の弟についても「２人とも成人した大人。オレから言うことはない」と、今後は一歩も二歩も引く構えだ。

　亀田プロモーションの社長として、ジム経営に携わっている。一方で多くの支援者との交流の中で引退後の歩み方も学んできた。河野戦を前に「２８歳で引退する」と前置きした上で「海外ならいくらでも稼げる。日本のボクシング界を何とかせないかん。いつも考えているし、やれる自信はある。それはボクシングへの恩返しやと思う」と内に秘める思いを明かしていた。

　現会長らがはく奪された資格の回復を巡る日本ボクシングコミッションとの係争など、抱える問題は少なくない。それでも興毅は「自由人」として、型にはまらずにボクシング界への貢献を目指すつもりだ。