山中9回KO!2階級、海外視野に

 「WBC世界バンタム級タイトルマッチ」(10日、両国国技館)

 WBC世界バンタム級王者の山中慎介(31)が挑戦者アルベルト・ゲバラ(23)を4戦連続KOとなる9回TKOで下し、5度目の防衛に成功した。山中は足を使う挑戦者を攻めあぐねたが、中盤に捕まえて8回に2度のダウン、9回にも左でダウンを奪い、レフェリーストップに持ち込んだ。試合後に王者は団体王座統一戦、スーパーバンタム級挑戦などのビッグマッチ、米ラスベガス進出などの希望を表明。所属ジムの本田明彦会長(66)も「防衛回数を増やすことには興味はない」との考えを示した。

 勝負を決めたのはやはり“神の左”だった。3度のダウンを奪ってV5を飾った山中は「みなさんもイライラしたと思うんですけど、最後にきれいに入ったんで倒せました。まあ、左は強烈なんじゃないですかね」と、笑みを浮かべた。

 挑戦者ゲバラはダウン経験は1度だけという“逃げ足”の持ち主。山中は「動きは予想以上だった」と振り返るほど、フットワークを駆使するゲバラを攻めあぐねた。動きを捕らえ始めたのは7回。本田会長から「相手は左ばかり見てるから、右を出せば当たる」と助言を受けてペースをつかんだ。

 言葉通りにパンチが当たりはじめ、8回に左で2度のダウンを奪取。そして、9回開始早々にも左ストレートがさく裂し、欲求不満のたまる試合に終止符を打った。

 リング上では、1週間前に生後3カ月で急死した河合龍之介ちゃんの遺影を掲げた。「兄弟のように仲のいい、いとこの息子でした。喜んでくれてるんじゃないですか」と、思いをはせた。

 先に見据えるのはビッグマッチだ。「バンタム級では最強と思ってますし、スーパーバンタム級でもチャンスがあればやりたい」とファンに宣言。さらに「ラスベガスで来年か再来年にでもやりたい」と、改めて聖地進出を熱望した。

 ジムの本田会長も「防衛回数を増やすことに興味はない」との考えを持つ。だが、「統一戦なら(WBO王者の亀田)和毅が一番可能性があるが、WBCは統一戦をやりたがらない。階級を上げるのはいいが、体重で苦しんでないし、海外はファイトマネーがよくないとやる価値はない。次は来年3月ぐらい。いい相手とやらせたいが…」と、簡単ではない状況も示した。山中にできることは勝ち続けること。“神の左”でビッグマッチへの扉を開く。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

ファイト最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(ファイト)

    写真

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス