香川初キック王者・箸尾、世界の頂狙う

 香川県人初のキックボクシング王者が世界への闘いを挑む。JKI(ジャパン・キックボクシング・イノベーション)スーパーフェザー級王者・箸尾匡平(30)=武勇館高松キックボクシングジム。1月27日のタイトル戦で4回TKO勝ち。格闘技好きだった少年が23歳からグローブ、レガーズをつけてリングに立ち、約7年で勲章を手にした。これからが勝負‐。さらに高いステージを目指してパワーアップする。

 一瞬に集中する。重く鋭いキックが左右から繰り出される。的確に狙い澄ましたパンチが顔面、ボディーにさく裂して、ジムの乾いた空気に鈍い音が響く。

 1月27日、箸尾が香川県人初の王者になってから2カ月余りがたった。「自分自身はそれほど変化したとは思いません。ただ、知らないおじさんから声をかけてもらったりします。子どももお父さんがチャンピオンだと自慢しているようです。ベルトを巻いてやったらとても喜びましたね」

 もともとスポーツ経験はなかった。「小、中学と運動はしていませんでした。リレーの選手に選ばれることもなければ、体育も苦手。そういうタイプでしたから」と振り返る。

 格闘技は好きだった。特に中学時代からは、K‐1に夢中だった。「やりたいという思いはありました。ただ、実際にはやる場所がなかったので」と、リングに立つことが現実になるとは考えていなかった。

 転機が訪れたのは23歳の時だった。やっぱりリングで戦ってみたい‐。職場の同僚らと話しているとき「ジムがある」と教えられた。それが当時、新しくできた武勇館高松だった。

 「ジムに通うよ」。茜夫人に伝えたら「試合したらダメ」と反対された。それでも実際に競技を始めると最高に楽しかった。2008年にプロテストを受けた。「嫁さんには内緒でした。事後報告です。いつも事後報告ですね」と苦笑い。09年4月にデビュー。翌年には新人王トーナメントで優勝するなど、着実にステップアップした。

 成長を見守ってきた吉岡雅史代表は「彼が素晴らしいのは格闘センス」と評する。「パンチを合わすタイミング。攻めるところは一気に攻める。引いたらいけない局面では、苦しくても引かない強いメンタル。これから伸びしろは十分にある」と期待を込める。

 現在、朝8時から夕方5時まで建設作業の仕事をしている。その後、ジムを訪れてウオームアップからスパーリング、首相撲、ボディー打ちなど約2時間のトレーニングに取り組んでいる。

 次戦は29日、後楽園ホール。NJKF(ニュージャパン・キックボクシング連盟)ライト級王者・宮越慶二郎と激突する。団体の枠を超えた闘い。1階級上の相手だが「チャンピオンになって初めての試合。ジムの看板を背負うのだから、自分らしいスタイルで勝ってアピールしたい」と闘志をみなぎらせている。

 武器は右ストレート、そして大好きな魔裟斗のビデオを繰り返し見て研究した右アッパーだ。香川から日本統一、その先にあるWBCムエタイ。世界最高峰の舞台にたどりついて見せる。

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