チアリーディングのジャパンカップ日本選手権のディビジョン1大学部門で2連覇を目指した日本体育大学VORTEXは、惜しくも準優勝に終わった。準決勝、決勝ともに勝敗を分けたのは、ほんの少しのミスだった。日本一に懸けた思い、演技終盤で思わず流した涙の真相を描く。【監修・日本チアリーディング協会】
止まらない涙
150秒の演技の中で「心」がにじみ出ることがある。
「勇気」 「元気」 「笑顔」
それらがチアリーディングの特徴でもあるが、こらえきれずに一瞬だけ見せるその表情は、チアの本質ではないのかも知れない。
ただ、見ている者の感情を激しく揺さぶる。
ディビジョン1大学部門の決勝。
日体大の演技は最終盤に差し掛かっていた。
正面にピラミッドが3基が並ぶ。
向かって左側のトップは、ストラドル(肩車)からミドルの腕の力を反動にし、1回転しながらその腕に収まった。
フィニッシュのポーズを取る、その時だった。
彼女の表情はくしゃくしゃに崩れ、今にも泣き出しそうになっていた。
その光景は、とても印象に残っている。
ミドルの手から離れ、降りる時も笑顔ではなかった。
マットに立つと、もう感情を抑えることができない。
すぐに分かった。
それは嬉しくて流す涙ではないことを。
2連覇を目指した日体大の挑戦は、終わりを告げた。
まだ、帝京大の演技が残っている。
それでも、自分たちの力を出し切ることができなかったことが、悔しかったのだ。
彼女のことは高校時代からよく知っている。
努力をして、努力をして、ようやく高校最後の大会で日本一をつかみ、大学でもまた、あの感動を味わいたくて、日体大に進んだのだ。
正面から向かい、彼女とは反対側のミドルの選手は、嗚咽を漏らしながら、まるで子供のように泣いていた。
2人はかつて、ライバル校にいた。
この記事は、2人のこと。
そして、日体大のこの夏の挑戦を描きたいと思う。




