「ゆっくりしよう」と思って、故郷に帰ったはずだった。だが、世界を知る柔道家の情熱は、そう簡単には消えなかった。2011年世界選手権に出場し、現役引退後は日本女子代表のコーチとしてトップ選手を指導。パリ五輪を終えた池田ひとみは、自衛隊を離れ、沖縄へ戻った。そして選んだ新たな舞台は、高校の体育教師だった。勝つための技術だけではない。柔道を長く続ける意味や、競技を通じて人生を切り開く力を伝えたい。41歳の指導者が故郷で始めたのは、ひとつのチームを強くすることだけではない。沖縄の女子柔道、その未来をつくる仕事だ。