1979年2月10日。安芸キャンプに小林繁がやってきた。出迎えの高知空港から国道55号まで人であふれ返るほどの人気だった。選手宿舎では歓迎会が催され、音頭を取った選手会長の江本孟紀が小林を壇上に招き、チームを代表する立場で掛布も上げられた。

 江川事件の〝被害者〟として巨人からトレードされた細腕の男をチームメート全員で歓待した。背番号19を譲った工藤一彦も笑顔を振りまいた。

江川事件 1978年のドラフト会議前日、「空白の一日」を利用した巨人が一方的に江川(作新学院職員)との入団契約の締結を発表し、ドラフトをボイコットした。翌日のドラフトで阪神が江川の交渉権を獲得。その後、事態打開策として金子鋭コミッショナーの「強い要望」により、江川は一度阪神に入団した後、小林との交換トレードという形で巨人に入団した。

「小林さんのチームになってしまう」