物価高にうんざり…毎月貯蓄を取り崩し将来へ不安な日々 西村誠司氏の人生相談

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 にしたんクリニックなどを展開するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長があなたの悩みに答えます。

 【相談】 50代半ば、近年の物価高にうんざりしています。食費や生活必需品、光熱費、さらに2人の子ども(大学生、高校生)の教育費や、離れて暮らす親の介護費などが高騰して生活が苦しくなるばかり。私の給料に加え妻もほぼフルタイムで働き何とかしのいでいますが、ほぼ毎月貯蓄を取り崩しています。この状況では借金生活も現実的となり、不安な日々です。経営者の西村社長も、この物価高は大きな影響を受けていると思います。企業と個人では対策も異なりますが、困難に立ち向かう考え方などは共通するものがあるかと思います。明るい未来を迎えるためにも、アドバイスをください。

 【回答】 食費や光熱費だけでなく、お子さんの教育費、ご両親の介護費まで重なる50代は、家計にとって非常に負担の大きい時期だと思います。ご夫婦で働いているにもかかわらず毎月貯蓄を取り崩しているとなれば、「この先どうなるのだろう」と不安になるのは当然です。実際、物価高は気のせいではありません。総務省の消費者物価指数でも物価上昇が続いていますし、家計調査を見ても、物価変動を考慮した実質消費支出が前年を下回る月があります。多くの家庭が、以前と同じ生活をしていても負担が増えたと感じる状況だと思います。

 企業経営も実は同じです。原材料費、人件費、光熱費などが上がれば、利益は圧迫されます。そういうとき経営者がまずしなければならないのは、「苦しい、苦しい」と言い続けることではなく、数字をきちんと把握することです。私は家計も同じだと思います。

 まず一度、ご夫婦で毎月いくら入ってきて、何にいくら出ていっているのかを全部書き出してみてください。食費を数百円ずつ削ることから始めるのではなく、住居費、保険、通信費、車、教育費など、金額の大きなところから見ていく。企業でも、経営が厳しいときにコピー用紙を何枚減らすかだけを議論していても、大きな改善にはつながりません。

 そして、今回特に気になるのは「毎月貯蓄を取り崩している」という点です。貯蓄はこういうときのためにあるので、一時的に取り崩すこと自体を悲観する必要はありません。ただ、それが毎月続いているのであれば、「あと何カ月、何年続けられるのか」は数字にしておいたほうがいいでしょう。漠然と「いつか借金になるかもしれない」と考えている状態が、一番不安を大きくします。

 たとえば、現在の貯蓄額と毎月の赤字額から、このままならいつまで持つのかを計算する。そして、お子さんの卒業などによって教育費が下がる時期も入れて、3年後、5年後まで家計を見てみる。そうすると、「今が一番苦しい時期で、ここを越えれば改善する」のか、「今のままでは本当に足りなくなる」のかが見えてきます。

 後者であれば、借金をしてから考えるのではなく、今の段階で手を打つことです。教育費については奨学金や授業料減免などの制度がありますし、介護についても公的な介護保険をはじめ、状況に応じて利用できる支援があります。大学の修学支援制度も拡充されています。使える制度がないか、学校や自治体などに確認してみる価値は十分あります。

 私は、「家族のためだから全部自分たちで負担しなければならない」と考えすぎないことも大切だと思います。特に親御さんの介護については、ご相談者さまご夫婦の老後資金まで使い切ってしまえば、今度は将来、お子さんたちに負担が移ってしまうかもしれません。家族を大切にすることと、自分たちの生活を守ることは、どちらも必要です。

 もう一つ企業経営と家計に共通するのは、「守ること」だけでは限界があるということです。もちろん無駄な支出を減らすことは必要ですが物価が上がる中で、節約だけを続けて生活を小さくしていくのは苦しいものです。会社であればコストを見直すと同時に、売り上げをどう増やすかを考えます。家計でも、今後の昇給や働き方、副業など、無理のない範囲で収入を増やす可能性について考えてみてもいいと思います。

 ただし50代半ばで、お子さんの教育と親御さんの介護を抱えているのですから、体を壊してまで働くことは本末転倒です。健康は、お金以上に大切な資産です。私は経営をしていて、苦しい局面ほど「この状態が永遠に続く」と思わないようにしています。状況は必ず変わります。その一方で、「そのうち何とかなる」と楽観して放置することもしません。現状を数字で把握して、一つずつ打ち手を考える。それを繰り返してきました。

 ご相談者さまも今は教育費と介護費が重なる、人生の中でも特に支出の大きな時期なのだと思います。だからこそ、必要以上にご自身を追い込まず、まずは「あといくら必要で、いつまでこの状況が続くのか」を見えるようにしてみてください。不安というものは、分からないからこそ大きくなります。

 未来を明るくするために必要なのは、無理に楽観することではありません。現実をきちんと見たうえで、今日からできることを一つずつ実行することです。ご夫婦ですでに力を合わせてここまで家族を支えてこられたのですから、今度はご自身たちの将来も守るという視点を加えてください。家計も経営も、最後に大切なのは「続けられる状態をつくること」だと私は思います。

 ◇西村 誠司(にしむら・せいじ)1970年生まれ、愛知県出身。「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数8万2000人。

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