重症の喘息治療に朗報 分子標的治療薬

 気管支喘息の治療がここ最近で最も進化したのではという話を以前、書きました。1995年のインフルエンザ流行期には喘息死が7000人以上だったのが、2021年には1000人余りまで減少。93年に吸入ステロイドが気管支喘息の治療ガイドラインに出現してから、治療概念が一変しました。

 それまで気管支拡張薬である吸入薬のみを投与するケースがあったのですが、吸入ステロイド、気管支拡張薬、気管支収縮抑制薬などの3剤が、吸入薬と多用され、喘息死がさらに改善されました。残念ながら、未だに気管支拡張薬のみを処方され吸入ステロイド剤を知らないケースがあるのは驚きますが、多くは違う薬の方が楽になりますよと投薬内容の変更を促します。

 素晴らしい薬が出現しても、重症の喘息患者さんがいなくなったわけではありません。様々な内服を追加し、それでも改善がなければ内服のステロイド薬が投与されます。これはかなり効果を示します。ただ、副作用が問題です。吸入ステロイドの副作用はおおむねないと言っていいですが、内服となると問題が出てくるのです。

 ステロイドの副作用は数多いので省略しますが、気管支喘息の患者さんで問題なのは、細菌感染からの肺炎や、長期服用による骨粗しょう症です。これらを解決すべく素晴らしい薬が登場しました。分子標的治療薬です。簡単に言うと喘息の病態の基本である炎症を抑える薬です。

 何種類かありますので、病態にあった薬を選びます。それらの薬は薬局でもらって自己注射できるものもあるのです。投与期間は2週間、1カ月、2カ月とさまざま。副作用はステロイドと比較するとほとんどないと言ってもいいくらいです。

 一番の問題点は、費用が高いことです。高額医療で請求をすればお金が戻ってくることもありますので、主治医と相談することが大切でしょう。

 ◆谷光利昭(たにみつ・としあき)兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。デイリースポーツHPで「町医者の独り言」を連載中。

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