新型コロナが2類から「条件付き5類」になることの意味 現役医師が解説

 新型コロナを感染症法上の2類から5類に格下げするか否かで議論を呼んでいますが、ワクチン・検査・治療は公費でまかなうという「条件付き5類」であれば、2類のままでいいじゃないか、という意見もあります。確かにその通りなのですが、実は意味合いは大きく違います。

 5類にするということは、季節性インフルエンザや梅毒と同じで「気をつけるべきだが、大騒ぎするほどの病気ではない」という認識になります。そこが大事なのです。サッカーW杯を観ていたら、マスクしているのは日本人サポーターだけで、誰もしていませんでした。そのあたり、真面目すぎる日本人の意識改革が狙いなのではないかと私はにらんでいます。

 実際に「致死率」でいうと、最初に新型コロナ感染が拡大した2020年春ごろは、確かに5%を超えていました。第1波つまり「武漢型」や「アルファ型」の頃です。「デルタ型」の頃でも致死率は8%です。

 しかし治療法の進歩やワクチン接種の進展、さらにオミクロンが感染の主流となると、ようやく感染力と毒性が反比例し始め、2022年秋以降の第8波では0・19%と下がってきています。80歳以上の高齢者となるとさすがに1・69%ですが、それでもインフルエンザと大差ありません。感染者があまりにも多いから、死亡者も多いだけで、新型コロナの毒性はインフルエンザ並みになっているのです。数字は統計によって若干の異なりがありますが、傾向としてはほぼ同じです。

 ただ、専門家会合のメンバーは「季節性インフルエンザと同様の対応が可能な病気になるにはもうしばらく時間がかかる」と評価しています。そこに議論の火種があるのです。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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