【窪谷日奈子医師】ご存知ですか?…寝ている間に“裸眼視力”を改善させる「オルソケラトロジー」

 普段使うコンタクトレンズは、寝る前に必ず外さないといけません。つけたまま寝てしまうと、酸素が足りなくなり黒目が濁ったり、傷がついて感染の原因にもなるからです。しかし寝ている時につけておくタイプのコンタクトレンズがあることを、みなさんご存じでしょうか?

 就寝時に特殊なカーブのハードコンタクトレンズを使うことで、角膜の形状を変化させ、裸眼視力を改善させる近視矯正法があります。これを「オルソケラトロジー」といいます。それ自体は2000年頃から米国で行われていますが、日本で普及してきているのはここ最近の話です。

 就寝前にハードコンタクトレンズを装着し黒目の表面の形を変化させると、日中は眼鏡やコンタクトレンズなしで生活できます。つけっぱなしで寝てしまっても大丈夫なように、酸素透過性が高く、目の中でずれにくい特殊な構造をしています。通常のコンタクトレンズとは逆の使い方になるのが特徴です。

 回復した視力は一定期間維持され、日中は裸眼でもよく見えるようになります。しかし徐々に形状は元に戻りますし、持続時間も個人差があります。また強度の近視の方や睡眠時間が短い(6時間以内)方は効果が出にくく、コンタクトレンズを装着しても大丈夫か適応検査も必要です。

 日本コンタクトレンズ学会のガイドラインでは「20歳以上が推奨」ですが、現実には20歳以下の子供さんが使っていることが多いです。学童期の近視の進行しやすい時期にこのレンズを装着することで、近視進行を抑制できることがわかってきているからです。眼球のサイズが病的に大きくなる病的近視の進行予防に特に効果があるとされているので、近視が出てきたらお子さんでも試してみる価値はあると思います。

 「オルソケラトロジー」に興味を持たれた方は、ぜひ眼科で相談してみてください。

◆窪谷日奈子 医療法人社団吉徳会・あさぎり病院・眼科医長。眼科専門医。

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