【尾原徹司医師】花粉症?風邪?もしかして、季節の変わり目に多い「寒暖差アレルギー」かも?

 季節の変わり目となる2月からから3月にかけ、寒暖差が大きくなると、くしゃみや鼻水が出たり、体のだるさがあったり…という人が増えます。花粉症かな?風邪かな?と思いきや、もしかして、その正体は近年注目されている「寒暖差アレルギー」の可能性も。正式病名は「血管運動性鼻炎」といいます。あなたは大丈夫ですか?

■症状は花粉症や風邪にそっくり?

 スギ花粉が飛散するこの時期。鼻水に鼻づまり、くしゃみ、不眠、イライラ、倦怠感、食欲低下、皮膚の痒み…などの異変を覚えることがあります。「あれ、花粉症になったのかな。それとも風邪?」と思えるほど、似た症状が出ることがあります。

 花粉症とも風邪ともとれますが、風邪の場合は発熱があります。花粉症の場合は目のかゆみや充血を伴うことが多いのですが、発熱も目のかゆみなどもなければ、その正体は季節の変わり目に多い「寒暖差アレルギー」かもしれません。正式病名は「血管運動性鼻炎」と呼ばれ、寒暖差によって鼻の粘膜の血管が広がり、粘膜が腫れることで引き起こされる、と考えられています。

■寒暖差アレルギーとは?

 一般的に、この症状は1日の温度差が7℃以上になると起こりやすいと言われています。ただ、花粉やホコリ、ダニなどによって引き起こされるアレルギー性鼻炎と違い、こちらは名前にアレルギーとついていても、実はアレルギー反応はなく、自律神経の乱れによって起こっていると考えられています。

 自律神経は内臓や血管などの働きをコントロールし、体内の環境を整える働きがあることで知られています。寒い場所では血管が収縮し、暖かい場所では血管が拡張するのですが、寒暖差が大きくなると、体温を一定に保とうとするために自律神経が必要以上に働こうとします。

 そうすると、過剰にエネルギーを消費し、体に疲労が蓄積するようになります。その結果、前述した鼻水や鼻づまり、くしゃみ、不眠、イライラ、倦怠感、食欲低下、皮膚の痒みなど、諸症状として出てきます。寒暖差アレルギーはこれといった治療法がありません。症状を緩和する対処療法が中心です。

■予防法はあるのでしょうか?

 寒暖差から引き起こされるので「体を冷やさないこと」がポイントです。寒暖差を感じたら、暖かい衣服を心がけ、冷気から身を保護しましょう。

 コロナ禍で必須のマスクは冷気を防ぐことができます。手首や足首、首などはマフラーや暖かい靴下、手袋などで温めて、血流をよくするのも方法です。

 お風呂でリラックスし、十分な睡眠をとることもおすすめします。またストレッチなどで体の緊張感をほぐして自律神経を整える「適度な運動」も効果があるので、チャレンジしてみてください。

 もちろん「食事」も重要です。栄養バランスを考えた食事はもちろんのこと、生姜など体を温める食材もおすすめです。

 季節の変わり目は体が不調に陥りやすいので、皆さん、気をつけてくださいね。

◆尾原徹司 東京医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センターを経て、神戸鐘紡病院消化器科に赴任。昭和57(1982)年に独立し、医療法人社団つかさ会「尾原病院」(神戸市須磨区妙法寺荒打/神戸市営地下鉄西神山手線妙法寺駅徒歩3分)院長に。他に介護老人保健施設「コスモス苑」、「つかさ訪問看護ステーション」、「つかさ在宅ケアセンター」「人工透析センター」なども運営。

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