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【中塚美智子医師】パーキンソン病において注意したい誤嚥性肺炎、筋力低下でうまく飲み込めないことも

 作曲家の筒美京平さんが先日お亡くなりになりました。楽曲一覧を拝見すると、一曲ごとに学生時代の瞬間瞬間が鮮明に甦ってきます。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

 さて、筒美さんの命を奪ったのは誤嚥(ごえん)性肺炎でした。阪神淡路大震災の避難生活において、肺炎で亡くなった方の割合が災害関連死の約4分の1であったことから注目されるようになりました。厚生労働省の2019年度の人口動態統計では、誤嚥性肺炎で亡くなった方は4万人を超え、死因の第6位になっています。

 報道によると筒美さんはパーキンソン病で自宅療養なさっていたそうですが、パーキンソン病を患っていらっしゃる方は誤嚥性肺炎に注意する必要があります。

 パーキンソン病は、脳のドパミンが不足することで運動機能の調節がうまくいかなくなる病気です。動作が遅く、小さくなったり、身体のバランスを取ることが難しくなったりします。また、初期の段階から嚥下(えんげ)障害、つまり食べ物を口の中に入れてから飲み込むまでの一連の動作がスムーズに行えなくなるといった症状が出る場合もあります。口の周りの筋肉や舌の動きが悪くなるため、食べ物をかむ力が弱くなり、口の中で食べ物を飲み込む状態にすることができません。さらに食べ物が口から喉に送られても食道まで到達せず、喉に残ってしまうこともあります。

 誤嚥性肺炎は寝ている間に口の中の細菌が混じった唾液や、食事の間に食べ物や飲み物が誤って気道に入ることで起こりますが、通常は気道に入らないよう、咳などをして押し出そうとします。ドパミンは誤って気道に入ろうとする物を押し出す反射にも関わっていることから、パーキンソン病の患者さんは食べ物を押し出す力が弱くなり、誤嚥性肺炎を起こしやすくなっています。寝たきりの方はさらにリスクが高くなります。

 パーキンソン病を患っている方の中には食欲が低下してくるため、栄養状態が悪くなり、免疫力の低下がみられることがあります。また手が震えるためご自身での歯磨きも難しくなるなど、口の中を清潔に保ちにくくなることも誤嚥性肺炎につながる恐れがあります。特にご家族に患者さんがいらっしゃる場合は、日々不安を感じながら介助をなさっていることと拝察いたします。ぜひ歯科医師や歯科衛生士とも相談しながら誤嚥性肺炎のリスクを少しでも小さくしていただきたいと思います。

◆中塚 美智子 大阪歯科大学医療保健学部准教授。歯科医師、労働衛生コンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士。

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