【松本浩彦医師】今年のインフルエンザワクチンは「大当たり」?

 今冬のインフルエンザ流行は「出足いまいち」というところですが、地域差が相当にあり、実際にB型が大流行している地域もあります。一番気温の下がる2月中旬までがインフルエンザ流行の最大の危険ゾーンですが、このまま過ぎ去ってほしいものです。

 理由として考えられるのは2点です。まずは暖冬。例年に比べて気温が高いことが挙げられます。インフルエンザは低温・乾燥を好みます。雨は降っていませんが、暖冬は大きな要因です。そしてもう1点は「ワクチンがよく効いている」ことだと思います。

 ワクチンをうっても毎年インフルエンザにかかる人はかかります。ところが今年はその傾向が変わっているような気がします。当院でワクチンを注射した人から聞いた話だと、家族みんなインフルエンザなのに、自分だけ発症しない、という声がすごく多いんですね。

 毎年インフルエンザワクチンは春ごろから、世界保健機構(WHO)がその年の年末に流行しそうな株種を予測して作られ始めます。私の記憶では過去20年で、外れた、と断言できるのは1回だけですが、ワクチンとは微妙にDNAが異なるタイプのウイルスがいるもので、毎年その微妙に外れたタイプのウイルスに感染したり、もしくはワクチンを射っても感染を阻止できるだけの量の抗体を作れなかった人が発症します。ところが今年のワクチンは、要するに「大当たり」だったようで、これが今冬のインフルエンザ流行が「いまいち」になっている原因と思われます。

 ところが海の向こう米国では、今まさにインフル・パンデミック状態で、インフルエンザとその合併症による死者がすでに1万数千人との情報も。いつ日本に飛び火してきても不思議ではなく、油断大敵です。

◆松本 浩彦 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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