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【松本浩彦医師】市販の遺伝子検査では「大事なことは判らない」

 ヒトのDNAが30億塩基対の化学物質の羅列だと、前回ご紹介しました。そしてその中で役に立っている部分は3%、およそ3万弱の遺伝子と呼ばれる領域だということも。ですが残りの97%も役に立っています。ウナギや牛肉の産地偽装を明らかにしたり、親子鑑定、事件や事故で身元不明の人の特定、そして胎児の出生前診断、今や当たり前のように行われています。

 市販の遺伝子検査、みなさんも一度くらい耳にされたでしょう。しかもお安い。ですがこの場ではっきり「大事なことは判らない」と申し上げます。

 医療機関で行なっている遺伝子検査は、病気の診断や薬の効き具合などを調べる、治療のための検査ですが、市販の遺伝子検査では遺伝性の病気や、現在もしくは将来、発症する病気についての情報は教えてくれません。これには倫理的な問題もあるのですが、もう一つ、特許の問題があります。

 10年ほど前、ハリウッド女優が遺伝子検査を受けて、乳がんになる可能性が高いことが判り、乳腺を切除したニュースが世界を驚かせました。BRC A-1/2遺伝子が欠損していたためです。これらは乳がんや卵巣がんの抑制遺伝子で、この遺伝子塩基のたった2文字が欠損していたため、乳がんを抑制できないことが判明したのです。

 BRC Aー1/2を始め、白血病を高率に発症する遺伝子異常や、喫煙によってがんになる確率が飛躍的に増す遺伝子多型などの検査は、特許の関係で全て別料金(高額)です。肥満になりやすいとか、お酒に弱いとか、そんなに重要とは思えない情報は知ることができるのですけど。でも本当に重要な、がんに関連する遺伝子検査を受けることは可能なのですが、それはまた次の機会に。

 ◆筆者プロフィール 松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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