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【谷光利昭医師】希望広がるオプジーボだが…しかるべき施設で適切な治療を

がん治療薬「オプジーボ」への期待は高まる一方だが…(提供・共同通信社)
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 本庶佑氏がノーベル医学生理学賞を受賞した。世界最高峰の賞の一つ。我々と同じ職業の人が受賞したことは非常に喜ばしいことで、同じような心境になっている仲間も多いでしょう。

 癌(がん)治療薬「オプジーボ」の登場は、多くの患者さんに福音がもたらしていることは間違いない。人間には1日数千個の癌細胞が発生していると推測されている。癌細胞は異物で、人間の体にはそれらを排除するシステムがある。これが免疫です。

 免疫機能は細菌、ウィルス、癌細胞を異物として認識しつつ、自分の組織を間違って攻撃しないようにも認識する。癌細胞が異物として認識されれば排除されるが、通常の免疫機能では異物と認識されなかった癌細胞が、発育を続けると癌として発病する。その免疫チェックポイントをブロックして免疫能力を高めて、癌細胞を排除しようというのが、この薬です。

 これまでの抗癌剤は、癌細胞が増殖するときに必要なものを攻撃して癌を排除する方法なので、発想が違うのです。実はこの薬は14年9月から使用されています。私は治療で使ったことがないですが、患者さんによっては劇的な効果が出ているようです。

 だた、“希望”広がっていく一方、知っていただきたいこともあります。オプジーボは現在、7種類の癌に保険適応されていますが、使用するには患者さんの病態による制限があります。さらに、腫瘍細胞にある特定の物質の有無を調べてから投与が推奨されている癌もあります。実際に薬を投与できる病院、医師も限られているんです。

 2人に1人が癌になる時代で、この薬に大きな期待が寄せられるのは当然です。担当医から治療の術がないと言われたときに最後の望みを託す…そのお気持ちも痛いほど分かります。しかし、決して“万能薬”ではないことを認識した上で治療に臨んで頂きたい。

 残念なことですが、高額なオプジーボの名前を利用して、不適切な医療をする人たちが出てこないとも限りません。しかるべき施設で適切な治療を受けて頂きたいと切に願います。

 ◆筆者プロフィール 谷光利昭(たにみつ・としあき)兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。外科医時代を経て、06年に同医院開院。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。デイリースポーツHPで「町医者の独り言」を連載中。

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