【スポーツ】小結高安に聞く爆弾抱える腰との付き合い方 朝の起床から「まず寝返りを100回くらい」 初日から6連敗も7勝8敗まで挽回

 先場所の千秋楽、霧島(手前)を突き落としで破る高安
 先場所の千秋楽、突き落としで霧島を破る高安=28日
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 横綱大の里が、昇進後初賜杯となる2場所ぶり5度目の優勝を飾った大相撲秋場所。小結高安(35)=田子ノ浦=は初日から6連敗と苦しんだが、7勝8敗まで必死の挽回を見せた。腰に爆弾を抱えながら、大関復帰と悲願の初優勝を諦めない男に、腰との付き合い方を聞いた。

 秋場所千秋楽。高安は関脇霧島を突き落とした。霧島は9敗で三役降格が濃厚。高安は東小結から西小結へ半枚後退し、九州場所(11月9日初日、福岡国際センター)は4場所連続で小結の地位を守る可能性が出てきた。

 高安は今場所を「終盤は良くなってきました」と語った。ただ、負け越しただけに「序盤がもったいなかった」と表情はさえない。三役を守ることが目標ではなかった。

 8月29日、茨城県牛久市で行われた夏巡業で、腰痛との付き合い方を聞いた。176キロの体重を支える要への配慮は想像以上だった。

 まず朝の起床だ。「目が覚めてすぐ起き上がらない。必ず体幹運動をしてから。寝ていると体幹の入りが悪いので、まず寝返りをバンバン打ちます。100回くらい。寝返りは体幹を使うので、腰の辺りが張ってくる。軽く腹筋をしたりして、そこからだとすんなり起き上がれますね」。20~30分を要するという。

 次は稽古前だ。「調子がいい時が少ないので、ストレッチ、ケア、体幹運動をやってから稽古場に下りる。そうすると安定するんですよ。ちゃんと準備しないで稽古なんかすると、もう絶対ダメですね。体が壊れる」。1時間ほどかけるという。

 かど番で迎えた2019年九州場所は腰痛のため途中休場し、大関から陥落した。以降は「今までのやり方を見直しました。ケガをしたら取り戻すのに時間がかかる。かばうと、別の場所もケガをする。だから一生懸命、トレーニングとケアを専門家の力を借りて、こつこつとやってきて、どんどん良くなってきました」と述懐。1年ほど前から腰の状態は安定してきたという。

 日常生活にも注意する。「起き上がり、物を拾う時は、一番気をつけないと。腰まわり、背中の力が抜けていると、どうしても腰椎に負担がかかる。お相撲さんは体が重い。筋肉の支えがないと、もろに来ます」。気を抜く暇がなさそうだが、家では3歳の長男が相撲のようにぶつかってくるのを「力が強いんですよ」と楽しみにする。

 大関復帰を「もちろんですよ。お土産を持って上がりたい」と意欲を燃やす。「お土産」とは初優勝にほかならない。

 秋場所を終え「稽古して頑張るしかない」と前を向いた高安。ベテランが懸命に進化を目指す姿は、人々の心を打つ。(デイリースポーツ・山本鋼平)

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