【野球】なぜベストオーダーを組まなかったのか DeNA・藤浪死球対策 2戦連続で左打者を並べた中日・井上監督の采配に評論家が持論
「DeNA2-0中日」(31日、横浜スタジアム)
中日・井上監督はまたしても左打者をズラリと並べた。DeNA・藤浪との再戦。8月17日の対戦では投手・松葉を含めて全員左打者。今回は遊撃・ロドリゲスを除く8人が左打者。制球難のイメージを抱く右腕からの死球を警戒し、同じ右投手の石田裕が先発していた前日のスタメンから、細川、チェイビス、山本、田中、加藤を先発メンバーから外した。
果たして結果は7回4安打3四死球で無得点。藤浪にNPB復帰後初勝利を献上する結果になった。井上監督は「左を並べたことに悔いはない。(この試合を終えて)24試合残っている中で、右を出せるかってことを言ってるわけじゃなくて、左を並べた方がいいという俺の判断」と語り、松中打撃統括コーチは「奮起してほしかった。そういう選手たちが底上げしてこないと強くならない」と残念がった。
5回5安打1四球1得点に抑えられた前回17日に指揮官は「俺もケガ人を出したくない。ベストオーダーで臨めない。でも、それはしょうがない。そういう投手を立てられたら」と、右打者が藤浪から死球を受けて戦線離脱となる事態を避けるためのオーダーであったことを明かしていた。
4連勝中で、勝てば3位に浮上していた一戦。Aクラス入りとなれば20年以来5年ぶり。20年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響などが考慮されてセ・リーグはCSが開催されず、CS出場となれば、2位になった12年以来13年ぶりとなるシーズン終盤。
阪神OBの中田良弘氏は「個人的な意見を言わせてもらうと、チームもファンも3位以上を狙ってる終盤戦で、ベストオーダーを組まずに負けたのはどうなのか。ファンの理解を得られるのかな。井上監督が言うように、藤浪の抜け球、死球を警戒するのは分かる。確かに藤浪のコントロールは不安定だけど、打者はどの投手に対してもある程度、死球を警戒していると思うし、抜けてきた球に対して死球にならないように避けるのもプロだと思う。ここはアマチュアではなくプロなんだから」との持論を述べた。
死球を受けての戦線離脱を警戒した結果、藤浪が先発した試合はどちらも敗れた。中田氏は「これは結果論になってしまうけど、勝っていれば何か言われることも少なかったと思うよ。この2試合で勝てなかったのはチームとしての層が薄いとも言えるけど、この1敗が後々に痛かったということになる可能性だってあるんだからね」と、藤浪から得点が奪えなかっただけでなく、白星も奪えなかった事実の大きさを語った。
藤浪は17日の登板後に「勝手に嫌がってくれる分には、好きなだけ嫌がってくださいという感じなので。特に自分は左が並んだということで球種の使い方が変わるなとは思いましたけど、それくらいです」と語り、前日は「相手のオーダーに関しては、自分のコントロールできるところではないので、それに対して、どう投げるかってところだけなので特に気にしないです」と偽らざる胸中を明かした。
藤浪が右打者に対して、左打者と比べて制球を乱したり、抜け球が増えていることは2軍戦を含めて明白な事象。抜け球が増えてしまうことでリズムを崩し、内角を突きにくくなって外角一辺倒の配球になり、攻略しやすくなって降板が早まる可能性が出てくるのであれば、相手としてそこを突く手もあるのではとも思う。
井上監督の決断が間違っていなかったと最終的に納得を得るためには、残り24試合で、2位・巨人から3ゲーム差に4チームがひしめく大接戦を勝ちきる以外にない。(デイリースポーツ・鈴木健一)





