【サッカー】神戸・森岡の右足に込められた優勝へかける思い 8年半ぶり復帰初戦で決めた初ゴール

 サッカーのベルギー1部リーグ・シャルルロワから8月に神戸へ復帰した元日本代表MF森岡亮太(33)が、25日の天皇杯準々決勝・鹿島戦(ノエスタ)で復帰後初出場初ゴールを挙げた。欧州リーグでの8年半を経て、改めて感じた今の神戸の強さ、優勝へかける思いが右足のひと振りに込められていた。

 神戸を長く応援するファンにはうれしい一撃だっただろう。森岡が2015年11月22日のJ1リーグ・浦和戦以来、3230日ぶりに神戸で挙げたゴール。初先発のチャンスをものにした。

 試合後、森岡の口から最初に出たのはファンへの感謝だった。「サポーターの作った雰囲気の中で、自分が抱いた感情がいい形でマッチしてゴールにつながった」。ピッチでウオームアップする時から、歓迎と期待感を肌で感じていたという。

 サポーターだけではない。ゴールを挙げた瞬間、スタンドで試合を見守ったFW大迫、武藤らベンチ外の主力も両手を上げて大喜び。スタジアム全体が「おかえり」という雰囲気に包まれた。森岡は神戸の印象について「帰ってきた時、雰囲気がめちゃめちゃいいと思った」と口にする。「経験があってビッグな選手が、ああいう(チームを鼓舞する)雰囲気作りをしている。率先して先頭を切ってやるのは本当にすごくいい雰囲気になる」と、強さの理由とも言える空気感を強調した。

 アジアのクラブ王者を決める最上位大会のアジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)も加わる過密日程で、リーグ戦の22日・新潟戦から中2日。先発全員が入れ替わった中での出場だった。チーム力が試された試合は森岡の先制点を足掛かりに、ほぼレギュラーメンバーの鹿島に3-0の完勝。森岡は「いいチームになったと思う。練習や紅白戦もいい選手と高め合えている。鹿島も優勝を狙えるチームだが、それをあまり感じさせない感じはあった。それは神戸の練習がレベルが高いということ」と分析した。

 もちろん、それはシビアな競争を意味する。8年半前とチーム状況は全く違う。森岡がいない間に神戸は19年の天皇杯、昨年のJ1を制した。26日時点でも首位と勝ち点1差の3位と、連覇は射程圏だ。森岡は8月半ばに合流したが、公式戦出場まで1カ月以上かかった。「ここ何年か、満足にコンディションを保てる時期がほとんど作れていなかった。状態は上がってきているが、完成されたチームに入ったので、試合レベルでチャンスが来るのは難しい。もどかしさはあった」。春まで所属したシャルルロワでは、下半身の神経痛が治りきらない中でシーズンを終え、退団。痛みは消えたが、体の状態と向き合う日々は続いている。

 古巣に戻った理由はシーズン終盤、頂点へ導くキーマンになることだ。「今回はターンオーバー(先発メンバーを大きく入れ替えること)という形でチャンスをもらえた。試合を経験してコンディションをもう一つ上げていきたい」。自身にとって悲願となる神戸でのタイトルへ、大きな一歩を踏み出した。(デイリースポーツ・中野裕美子)

 ◇森岡亮太(もりおか・りょうた)1991年4月12日、京都府城陽市出身。10年に久御山高から神戸に加入。14年に日本代表初選出。16年にポーランド1部のブロツワフへ移籍し、ベルギー1部のワースランドベベレンからアンデルレヒト、ベルギー1部のシャルルロワを経て、今年8月に神戸に復帰した。背番号88。183センチ、78キロ。利き足は右。血液型はA。

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