【野球】報徳学園伝統の堅守を受け継ぐ秘訣は 専用グラウンドなしでも選抜2年連続準V 基礎固め「守備足」に磨き

 伝統の堅守が聖地で輝きを放った。第96回選抜高校野球大会で報徳学園は2年連続の準優勝。頂点には届かなかったものの、ナインは圧倒的な守備力で甲子園を幾度も沸かせた。専用グラウンドも持たない一般的な公立校とさほど変わらない環境で、培われる強さの秘訣(ひけつ)に迫った。

 守備のほころびから流れが変わりやすい高校野球だが、今春の報徳ナインは5試合で2失策と安定感があった。決して派手な守備で目を引くわけではない。堅実な捕球に正確な送球。甲子園でリードした展開の最終回で起こりがちな“もしかしたら…”の雰囲気も全くなかった。

 ラグビー部などと兼用で使用するグラウンド。打撃練習はホーム側のネットに向かって打ち、内外野合わせたシートノックもままならない。恵まれているとは言えない環境下だからこそ、伝統の堅守は築かれた。

 テニスボールでの壁当てに基本的なゴロ捕球。守備の指導を担当するOBの宮崎翔コーチは「野球少年がやるような練習が多いですね」と話す。基礎固めが最優先事項。「守備の時に足が動くように見える選手がいい」と首脳陣の理想の守備像は統一されているという。

 足を使って守ることを同校では「守備足」と呼ばれる。捕球体勢では捕る前に右足に重心を置き、捕球後に自然と右足が前に出てくる動きで送球までの一連の流れを構築。足を素早く正確に動かすことで捕球から送球までの精度向上を図り、取れるアウトを取る確率を高めていた。

 基本だけではない。オフには特守が設けられ、遊撃と二塁に2人ペアで守備に就いて左右に振られる打球を15~20分の間ひたすら捕球。球際の強さを鍛え上げて守備範囲が拡大した。センバツで三塁を守り、好守を連発した西村大和内野手(3年)は「特守がメニュー表にあると『うぇー』ってなりました。一番しんどい」と苦笑い。体力面の強化も視野に入れており、選手たちにとっては地獄のメニュー。守備練習だけで技術と体力、精神力を鍛え上げるところにも報徳のこだわりが詰まっていた。

 高崎健康福祉大高崎との決勝戦では先制を許した直後の2死二塁で三塁・西村が三遊間の当たりに飛びついて処理。五回1死二塁でも遊撃・橋本友樹内野手(3年)が三遊間のゴロを滑り込んでアウトにし、聖地を沸かせた。

 2年連続準優勝に終わったものの、堅守で高校野球ファンの記憶に残った報徳ナイン。今春から新基準の低反発バットが導入され、変化を迎えた高校野球界。充実した施設がない中での勝ち方を、各校に示したような戦いっぷりだった。(デイリースポーツ・北村孝紀)

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