【野球】なぜ?OP戦1勝の岡田阪神を楽観視していいのか 開幕まで2週間を切ってよぎる不安と期待感

 「オープン戦、中日4-0阪神」(17日、バンテリンドーム)

 いやいやオープン戦やんか。頭ではそう理解していても、少しばかり不安になる。岡田阪神である。球団史上ワーストとなるオープン戦開幕9連敗から、13日のロッテ戦で初勝利をつかみ、さあここから調子を上げてと思っていたら、2年連続最下位の中日に2敗1分け。昨年の日本一軍団がいまひとつ乗り切れていない。

 岡田監督は14日のバンテリンドームでの練習後、「徐々に開幕に向けてのアレやからな」と、15日に始まる中日3連戦から、少しずつスイッチを開幕モードに切り替える方針を示していた。

 初戦は0-0の引き分け。森下と大山の連打でマルティネスを攻め立てた九回無死一、三塁の絶好機で佐藤輝が空振り三振、続く前川が一直併殺に倒れて無得点に終わったが、相手守護神を3、4番がきっちり捉えた点は良かったし、何より開幕投手を務める青柳が、6回4安打無失点と今年最長イニングを全うしたことに収穫を見た。

 16日の第2戦は、左肩の良性腫瘍(ガングリオン)除去のため、調整遅れが心配されていた大竹がソロ本塁打などで2失点したが、こちらも今年最長の5イニング、同最多の85球を投げられたことで、開幕ローテ入りに一定のメドを立てた。

 打線は初回に糸原が先制の左前適時打。3点を追った八回には小野寺が右前適時打を放ち、九回には植田、高寺、前川が連投のマルティネスから3連打を放ち、1点差に迫る粘りを見せた。1点を先制した後の初回2死満塁、同点の三回1死満塁、2点差に迫った八回1死満塁の好機であと一本を欠いた点はあったが、打線は底を脱したように感じた。

 第3戦は完封負けを喫したが、初戦の九回無死一、三塁から、マルティネスにパワーで対応しようとして空振り三振に倒れた佐藤輝が第2戦の欠場を経て、力みのないコンパクトなスイングで中越え二塁打、中前打、左前打と快音を奏でた。三回には中前打で出塁した近本が、次打者・木浪の初球にオープン戦初盗塁。得点にこそつながらなかったが、バットと足でメヒアを揺さぶった。四回には、二回1死二塁で内角直球に詰まって左飛に倒れていた森下が、2死から内角球を読み切って左翼線二塁打を放つなど、チームとしては無得点に終わったものの、各選手が右肩上がりの曲線を描きつつあると肌で感じた。

 個人的に気になるのは守備だ。まずは2点ビハインドの五回無死一、三塁の場面で、50メートル走6秒1という俊足のドラフト3位・辻本の緩い三ゴロを捕球した佐藤輝が併殺を狙って二塁に送球した点。ベンチから5-4-3の併殺を狙えという指示が飛んでいたかどうかは不明だが、打球は鈍くて緩かった。一塁はクロスプレーで併殺崩れとなって3点目を奪われたこともあるが、ここはタイミング的にもアウトにできた本塁で三塁走者を刺して、1死一、二塁から仕切り直すべきではなかったか。

 さらに六回無死一塁では、投ゴロを処理して併殺を狙ったゲラの送球を木浪が落球。助っ人は腕を横から振り、送球も股間より下に来るという捕りにくさはあったが、この失策が4点目につながった。

 打つ、打たない、抑える、打たれるには時の運もあり、打たない、打たれることは、ある種のミスとも位置づけられる。だが、守備に関してはイレギュラーを除けば、ベンチとしては最もミスを犯してほしくないポイントであるはず。だが、今年の阪神は守備のミスが失点に直結しているケースが非常に目立っているのだ。

 阪神OBの中田良弘氏は「去年もエラー自体は多かったけど、その多くが失点につながらなかった。そのことが勝ちにつながって、優勝という形になった。人がやることだからミスは付き物なんだけどね」としながらも、早めの矯正、改善を求めた。

 1勝11敗1分け。オープン戦は残り5試合。『アレンパ』を誓う2024年。開幕の足音は近づいているが、昨年の優勝、日本一の足跡を脳が覚えているだけに、一抹の不安もよぎる。(デイリースポーツ・鈴木健一)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

インサイド最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス