【野球】WBC世界一2006年以来の沖縄・宮古島で球児指導のイチロー氏 17年前の対戦で度肝抜きエースへ駆け上がった投手とは

 紅白戦で打席に立つイチロー=2006年2月11日
 オリックス・金子=2006年2月11日
 打撃を披露するイチロー氏(代表撮影)
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 マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(50)が16、17日の2日間、沖縄・宮古島の宮古高を訪問して臨時指導を行った。オリックス時代に汗を流したキャンプ地で、2006年にはWBCに向け同キャンプの紅白戦に特別参戦して調整、世界一に輝いたゆかりの地だ。「それ以来なんだけど、結構縁起はいいと思うので」と球児たちにもあいさつした。17年前、その紅白戦での対戦でイチロー氏の度肝を抜き、一気にチームのエースへ駆け上がった投手がいた。来季から日本ハム2軍投手コーチを務める金子千尋氏(40)だ。

 今でもその光景は鮮明に覚えている。06年2月11日の紅白戦。世界的に活躍するバリバリのメジャーリーガーに、プロ2年目の若手右腕が胸を借りて挑むという構図だ。にもかかわらず、紅組の1番・右翼で先発したイチローとマウンドで対峙した金子が投じた初球は、縦に大きく割れるカーブだった。

 バットを動かせなかったイチローは両手を広げて、お手上げのポーズを作った。「さすがにまずかったかな」。どよめきの中、わずかに頰を上気させる金子。最後はスライダーで一ゴロに打ち取り、対戦は終わった。

 「いい球だったね。でも、いきなりカーブ、なめとんか!ハハハッ」。あいさつに駆け寄った金子に、イチローはそう声をかけたという。ただ、イチローをキャンプに誘った清原和博内野手が「初球は直球で勝負しないとアカン。ああいうのが日本の野球をおかしくしている」と怒るなど、物議を醸したのも事実だ。イチロー自身も「通常は考えられない。ちょっとびっくりしましたね」と苦笑いで振り返っていた。

 金子にとっては覚悟のマウンドだった。右肘の故障を抱えながら04年度ドラフト自由枠で入団、1年目はリハビリが最優先で1軍公式戦登板なく終わった。ようやく肘の不安がなくなったからこそ、2年目の実戦初登板にかける思いは誰よりも強かった。

 「面白いボールを投げていましたね。球種を4つ見ましたけど、特にストレートは捉えたと思ってもファウルになる」。金子の投球を、イチローはそう評した。多彩な変化球を武器に右腕は一気に覚醒。06年は中継ぎに定着すると、07年には先発転向して6勝をマーク。08年から4年連続2桁勝利を挙げるなど、オリックスの絶対的エースに成長した。

 昨季限りで現役を引退した金子氏は今季、日本ハムの特命コーチとしてレンジャーズにコーチ留学。通算130勝の名投手がメジャーで指導者としての経験を積み、来季からは2軍投手コーチを務めることが先月、発表された。4連覇のかかるオリックスやロッテ、ソフトバンクなどを相手に、果たしてどんな投手を育てて送り出してくるのか。ひそかに楽しみにしている。(デイリースポーツ・石川真之)

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