【野球】巨人・戸郷 140球以上は計4度 12球団最多2715球を投げられた要因とは?

 巨人・戸郷翔征投手はエースの座を確固たるものとした。高卒5年目の今季は12勝5敗、防御率2・38で2年連続の二桁勝利をマークした。注目すべきは今季の総投球数2715球で、これは12球団トップの数字。3月にWBCを戦いながら、疲労とは無縁と言える成績をたたき出した裏には若手離れしたマウンドさばきの向上があった。

 固唾(かたず)をのんで見守るとはまさにこのことだった。8月3日・ヤクルト戦(東京ド)。八回を終えて127球だった先発・戸郷は九回も続投し、149球5安打1失点で、1点差を守り切る完投勝利を挙げた。

 現代のプロ野球で投手が1試合に150球近く投げることはほとんどなくなった。その中で戸郷は今季だけで140球以上投じた試合が4度。コーチと選手の関係で3月のWBCでも共闘してきた巨人・村田善則ブルペンコーチは8月3日の試合について「正直、投げすぎだとは思った」と明かした。ただその上で、「戸郷からは常に『まだいけますよ』という前向きな言葉があって『まだいけるんじゃないか?』という信頼が戸郷に関してはあった」。首脳陣からの信頼の積み重ねが12球団最多の投球数を生み出していた。

 その期待と信頼に応えた右腕だが、ここまで投げられた要因は何だったのか。同コーチは「細身の体からは想像できない元々のタフさ」に加えて「自分のエンジンを上げたり下げたりする押し引き」の向上を挙げた。

 今季の戸郷はシーズン序盤に球速が思うように上がってこないことに悩みを抱いていた。WBCに出場した影響か、5月には最速が145キロに満たない試合もあった。その中で村田コーチと登板前に相手打線の調子などのミーティングを行い、力の抜きどころと入れどころを整理。投球の強弱がシーズンを通しての活躍につながったという。

 同コーチは「調子が悪くてもなんとかするというところが素晴らしかった。(シーズン序盤は)自分を客観的に見ながら、140キロ台前半の直球で抑える術を冷静にやったと思うよ。若い投手は思いきり腕を振りたいところでも戸郷はそうではなかった。一生懸命投げるっていうところから、1つ超えたところに今年は達したと思う」と目を細めた。

 戸郷が末恐ろしい点は、まだ23歳で成長曲線のまっただ中にいるというところだ。来季は「10完投以上」を目標にタイトルも「全部取りたい」と鼻息が荒い。2年連続Bクラスに沈む巨人だが、進境著しいエースがいる限り、未来は明るいと思う。(デイリースポーツ・畠山賢大)

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