【野球】阪神・大山が押し出し四球で見せたガッツポーズ 岡田監督が「4番は大山にせんとアカン」その意味が見えたシーン

 延長10回、勝ち越しの押し出し四球を選び、雄たけびを上げる大山=25日
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 「ヤクルト4-7阪神」(25日、神宮球場)

 「やっぱりこのチームは大山を4番せんとアカンなあ」。今年1月、阪神・岡田監督はこう語っていた。その理由を問われると「言葉とかそんなんじゃないからな。引っ張っていくとか、そういうんじゃなしにな。みんなで並んでいてると、違う姿が見えるやん。何か違うというかな。一番はみんなが認めなあかんから。みんなの見ている姿を見て、やっぱり大山かな」と説明した。

 指揮官は昨年の秋季キャンプで練習に取り組む背番号3の姿勢を見て、4番を託すことを決めた。「みんなが認めなあかんから」-。25日の死闘をもぎ取った一戦、大山が「認められた4番」を象徴するシーンを見せた。延長十回、2死満塁から木沢と対した。当然、打って決めたい気持ちもあったかもしれない。だが初球の厳しいボールをしっかり見極めると、3球目はインハイにすっぽ抜け打席内に倒れ込んでよけた。

 スタンドからわき起こるブーイング。一瞬、大丈夫か?と思ったが大山はすぐ立ち上がり、打席に入った。投手に心を整理させる時間を与えないかのように、即座にバットを構えた。そして4球目がストライクゾーンから外れると、すぐさま三塁ベンチを向き、右手でガッツポーズを作って雄たけびをあげた。

 入団1年目から大山の姿を見てきたが、グラウンドではあまり感情を表に出さない選手というイメージだった。どちらかと言えば寡黙で、常に全力プレーを欠かさないという印象。そんな選手が気迫を前面に出して勝ち越しの押し出し四球をもぎ取った。

 その姿勢を見ていた佐藤輝が「押し出しで1点。大山さんが選んでくれたので、すごい楽な気持ちで打席に入れました」と一気にたたみかける。四球の後の初球を狙えという“セオリー”を実践するようにファーストストライクをフルスイング。空振りとなったが、最後は追い込まれながらも左中間を真っ二つに破る3点二塁打でダメ押しした。

 大山が我慢して四球を選んだことで、佐藤輝のプレッシャーを和らげ、結果的に守護神の岩崎を温存することもできた。あのガッツポーズを見て、岡田監督が「4番は大山にせんとアカン」と言ったこともうなずけたシーン。打線の中心に座る選手が、自分のことだけでなく、チームのために働くことで、ムードは高まる。4番に大山がいるからこそ、現在の貯金「14」という数字があるのではとも思えてくる。

 2021年の春季キャンプで、岡田監督はデイリースポーツの評論家として大山と対談した。その際に岡田監督は「聞きたいことがいっぱいあるんよ」と言って、打撃フォーム、野球に取り組む姿勢など、矢継ぎ早に大山へ質問を飛ばした。対談は白熱し、岡田監督が大山が持っていたバットを「貸してみ」と手に取り、スイングのクセなどを実演する場面もあった。

 その際に目標を問われた大山は「もちろん4番ということもありますけど、実際、試合になったら何番でも関係ないと思いますし。その場面、場面で選手たちが力を発揮できるように、チームを引っ張って行けるように頑張っていきたいと思います」と語っていた。自分のことだけでなく、周りも生かすことができる4番-。その素質を岡田監督は1月の時点で分かっていたのかもしれない。(デイリースポーツ・重松健三)

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