【野球】ヤクルトは、このままセ・リーグ連覇に突っ走れるのか。新外国人キブルハンの存在が追い風となる予感

 交流戦首位のヤクルトは、このままセ・リーグ連覇に突っ走れるのか。新外国人・パトリック・キブルハン(32)の存在が追い風となる予感が漂う。

 昨年、セ・リーグを制覇し20年ぶりに日本一の座を奪回した高津ヤクルトが、今季も56試合を戦った時点で35勝20敗1引き分け、貯金15で首位を快走している。交流戦も好調で2カードを残した時点で9勝3敗の首位。4年ぶりの優勝に突き進んでいる。

 決して戦力に余裕があるわけではない。投手陣では昨年、チームトップタイの9勝(4敗)、防御率3・26の好成績を挙げた奥川恭伸(21)が3月29日の巨人戦(神宮)で4回53球で降板した後、上半身のコンディション不良を訴え2軍で調整している。

 また、打撃陣では19本塁打、62打点、打率・290と活躍したドミンゴ・サンタナ(29)が左膝のクリーニング手術を受け復帰は未定。ベテラン・青木宣親(40)もコンディション不良のため1日、出場選手登録を抹消された。

 それでも、順調に勝ち星を積み上げているのは、高津臣吾監督(53)に、名将と呼ばれた故野村克也監督譲りの采配力があるのだろう。故野村監督の薫陶を受けた指導者、選手は多いが、高津監督はさしずめ「野村学校」の優等生といえる。

 その高津監督が指揮を執るヤクルトが、独走状態に入るピースとして手に入れたのがキブルハンだ。私は野村ヤクルトの担当記者だった時代、ノムさんが描いていた新外国人の理想像は「右打ちの長距離砲」だった。野村監督が指揮を執っていた時代、最強の助っ人は右投げ左打ちのジャック・ハウエル(60)だ。ハウエルは来日1年目に打率・331、38本塁打、87打点で首位打者、本塁打王のタイトルを獲得し、MVPにも輝いた。それでもノムさんは「左の好投手を攻略するのは、やはり左バッターより右バッター。でも、なかかないい右の大砲がいない」とボヤいていたものだ。

 その点、新加入したキブルハンはMLBでは4年間で打率・208、10本塁打、30打点と目立った成績は残していないが、トリプルAの3球団に在籍した2019年は125試合に出場し打率・255、34本塁打、84打点を記録。マイナー通算158本塁打の右のパワーヒッターである。しかも、打つだけではなく、一塁手、三塁手、外野手としての出場経験を持つユーティリティープレーヤーで、使い勝手がいい。さらに、チームの守護神、スコット・マクガフ(32)とは東京五輪米国代表のチームメートで来日前から情報収集を行っていたメリットもある。

 キブルハンは「2番DH」で実戦デビューした5月28日のイースタン・リーグ、西武戦(戸田)では3打数無安打に終わった。来日したばかりで、1軍昇格にはまだ時間が必要かもしれない。だが、現在のチーム力に彼の長打力が加われば、さらに連覇へ加速するのは間違いない。=敬称略=(デイリースポーツ・今野良彦)

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