【野球】サブロー氏の今 楽天の挑戦を支える裏方として思う「NPBにスター選手が出てくれれば」

 現役時代に注目を浴び、今も球界で奮闘を続ける元選手を紹介する「裏方はスゴ腕」(随時掲載)。今回は楽天の育成部ファームディレクター・大村三郎さん(45)。ロッテと巨人で22年間の現役生活を送った“サブロー”は、2020年から東北へ。その選択の背景には球界全体を俯瞰(ふかん)する熱き思いがあった。

 ◇ ◇

 楽天は今、優勝を狙いながら育成のサイクルを確立するという両立が難しいチャレンジを続けている。FAの浅村、鈴木大、岸らを積極的に獲得した数年前とは一線を画し、生え抜きからスターを作る育成部門を強化している真っただ中だ。

 その中でコーチでもなく、フロントでもない、ファームディレクターという一風変わったポストで奮闘を続けるのが大村さんだ。

 仕事は多岐にわたる。1、2軍首脳陣の橋渡し役。2軍の若手への助言。育成計画の作成。スカウト会議にも参加し、スカウトのサポート役も務める。「すごい面白い仕事内容ですよね」。チームの未来を占う役目を託された表情には充実感に満ちあふれていた。

 特に力を入れているのが若手への助言だ。「僕は冗談の言い合いでも、友達感覚でも全然かまわない。とにかくしゃべる」。コーチよりもう一段階、選手と距離の近い存在として、プロ生活22年間で得た経験を惜しみなく伝えている。

 現役時代の登録名はサブロー。11年に巨人で半年間プレーした以外はロッテで汗を流した。「つなぎの4番」として05、10年の日本一に貢献。勝負強い打撃はファンの記憶に残り続けている。

 そんなロッテの象徴的存在だった大村さんが、古巣と同一リーグでライバルの楽天の強化に心血を注ぐ-。難しい決断のように思えるが、葛藤はなかったのか。「僕はチームうんぬんではなくて、はっきり言うと、どこでもいいんです」。古巣への恩義も持ちながら、視線の先にはもっと大きな夢がある。

 「野球界から良い選手を発掘できたり、育てていけたり、そういうのは別にロッテじゃなくてもいいなと思っているので」

 引退後の評論家時代は高校野球を中心に活動してきた。今も多忙な合間を縫って甲子園などに足を運び、選手発掘に情熱を傾ける。野球人気が低迷する中、野球振興の重要性も肌で実感。だからこそ選手の獲得から育成まで包括的に携われる現職を引き受けた。

 「NPB全体でスター選手が出てくれればそれでいいんです」

 楽天は22年度のドラフトで高校生野手を4人指名。今年も同職を担う大村さんの役割はさらに重要になりそうだ。(畠山賢大)

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