【野球】君はオリックス・宗の超絶守備を見たことがあるか!!

 オリックス・宗佑磨の三塁守備を見たことがあるだろうか?

 5月9日・ロッテ戦(ZOZOマリン)では無死満塁で井上の三遊間へのゴロを捕球すると二塁へバックトスで、併殺を完成させるアクロバティックなプレーを披露した。

 三塁線は逆シングルで止める、三遊間は驚異的な守備範囲でグラブに収める。ボテボテの当たりには素早いダッシュでまるでグラブに吸い付くようにキャッチ。捕ってしまえば、クイックスローから糸を引くような送球が一塁手のミットにストライクで収まる。そのプレーを見れば思わず声が出る。

 三塁の名手といえば、長嶋茂雄、掛布雅之、現代ならソフトバンク・松田宣浩の名前が挙がる。彼らはダイナミックなプレーでファンを魅了してきた。宗はその系譜には当てはまらない。柔らかいハンドリング、速く正確なスローイングはメジャーリーガーを見ているかのようだ。

 内野守備を担当する風岡尚幸コーチは「われわれがベンチで見ていても“うぉー”となる。日本のプロ野球で見たことのないプレーをする。人によってはダメだという人もいるかもしれないけど、何も言わずにそのままやらせてあげたい。お客さんにたくさん見てもらいたいし、ゴールデングラブ賞も取らせてあげたい。今のサードでは12球団で1番だと思っています」と評した。

 これだけの守備を魅せる宗だが、実は外野手登録。プロ入り時は遊撃手だったが、失格の烙印を押され2018年にレギュラー不在のセンターを埋めるべく外野手転向。19年からは登録も外野になった。宗は後悔を口にする。

 「考え過ぎてました。この形で捕らなければいけない。ボールに対して回り込んで入ってとか。体の動きがめちゃくちゃ悪かった。ハンドリングは悪くなかったのに固まり過ぎていた」

 外野でも故障などもありレギュラー獲得はならなかった。1、2軍を行ったり来たり。そんなときルーキーだった宜保翔内野手の動きに衝撃を受けた。

 「宜保ちゃんのアクロバティックな身体能力を生かしたプレーを見て、自由にやっているな、こんな感じでやれば良かったと思った」

 そのころから逆シングルでの捕球に力を入れるようになったという。そんな姿を見ている人がいた。当時の中嶋聡2軍監督だ。

 「サードどう?って言われて無理っすって。冗談だと思っていた。“いけると思うからやってみないか”と言われてマジっすかって感じからはじまった」

 2軍戦、秋のフェニックスリーグ、そして豪州ウインターリーグ派遣。三塁手としての修行を続けた。豪州では美技連発に、長く豪州代表監督を務め、メジャーのスカウトでもあるジョン・ディーブル監督が絶賛。ショート転向を打診されたが、福良淳一GMは「三塁で使ってくれ」と断った。三塁手として育てるチーム方針に揺るぎはなかった。

 そして、プロ7年目にしてようやく開花の時を迎えた。

 「意外に堅実なんですよ。自分にできることをやる。そこだけ。正確に堅実にという思いです。捕り方はどうでもいい。アウトにすることが大事なんで」

 自らの才能を封じ込めていた呪縛を解いた。その先にNPB史上最もアクロバティックな守備を魅せる三塁手が誕生した。

 まだご覧になっていない方がいたらぜひ、オリックスの試合を見ていただきたい。三塁方向に打球が飛べばショータイムのはじまりだ。(デイリースポーツ・達野淳司)

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