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【スポーツ】将来の横綱候補 琴勝峰、試練の2勝13敗「これを肥やしに」

 大相撲初場所は平幕大栄翔(追手風)初優勝し、新たなヒーロー誕生に湧く中、将来のスター候補は壁に跳ね返された。幕内最年少21歳、東前頭3枚目の琴勝峰(佐渡ケ嶽)。初の上位総当たり戦で2勝13敗と惨敗した。

 角界内では将来の横綱候補の呼び声。身長191センチ、体重156キロの堂々とした肉体は筋肉質で柔らかい。組んでも良し、押しても良しの万能タイプ。土俵際もしぶとく、身体能力も抜群だ。

 19年九州場所で新十両に昇進後、6場所連続で勝ち越し。プロ入り後、負け越しは2018年秋場所、幕下で1度だけ。その大器が自己最高位で初日から11連敗と負け続けた。

 幼少期より体が大きく活躍。名門・埼玉栄高でも堂々のレギュラー。相撲人生でここまで負けたことはないであろう。「気持ちが真ん中(中日)あたりからダメになっていた。本当にきつくて」と、追い込まれていた。

 12日目、徳勝龍(木瀬)を送り倒し、ようやくトンネル脱出。「本当に周りの人が声をかけてくれた。そのおかげ。すべての言葉が刺さった。(12日目は)変なプライドを考えずいけた。これを肥やしにしないと意味がない。プラスにして自分のものにしていきたい」と、一生忘れられない白星となった。

 苦悩の愛息を父・手計学さんは包丁を片手に温かく見守っていた。千葉県柏駅前の名店、居酒屋「達磨」を営み、現在は新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言下で夜8時までの時短営業。「暇なんで。赤字ですよ。開けたら閉めるみたいな。休んでもいいけど、バイトの子達もいるから」と、売り上げも激減した。

 番付が上位となり、営業時間中に取組がある。常連のお客さんと観戦しながら「今場所は毎日ため息」と笑う。達磨には最近は相撲ファンが訪れることも増えてきた。売り上げアップのためにも琴勝峰の逆襲に期待する。

 「今までが順調過ぎたのでこんなもんでしょう。これで気がついてくれればいい。いい勉強じゃないですか。自分の実力が分かってくれれば」。父は取組前後は包丁を持つ手が震えて危険なため、安心させる相撲を取りたいところだ。

 同学年には“昭和の大横綱”大鵬(故人)の孫・十両王鵬(大嶽)、元横綱朝青龍のおい・幕内豊昇龍(立浪)、中学横綱の幕下塚原(春日野)ら有望株がそろう。黄金世代の先頭に立つ琴勝峰に対する期待は大きい。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「前途洋々で上がってきて体格も良くて柔らかさもある。勉強の場所じゃないですか。何が足りないか、肌で分かったと思う」と、将来に生きる大敗を強調した。

 そして「やっぱり馬力不足」と指摘。横綱、大関、三役に当たり負けしないためには、ぶつかり稽古しかない。「いくらバーベルを上げても…。人を押さないといけない。胸を出してもらって、人を押す技術を体で覚えないと」。部屋には幕内琴恵光、琴ノ若、十両琴勇輝、さらには引退したばかりの元大関琴奨菊の秀ノ山親方ら兄弟子がズラリ。試練を乗り越える頼もしい“胸”はそろっている。(デイリースポーツ・荒木 司)

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