【スポーツ】広島から自転車ロードレースをメジャーに 「ヴィクトワール広島」国際舞台へ

 広島市に拠点を置く自転車ロードレースのプロチーム「ヴィクトワール広島」は国内最高峰のプロリーグ「Jプロツアー」に所属している。18チームで争われた昨季は、開幕前に掲げていた「6位必達」の目標を上回る5位に食い込み、9月に群馬県で行われたレースでは谷順成選手がチーム発足5年目で初の優勝をもたらした。

 Jプロツアーでの順位は参戦1年目(2015年)の13位から13位、10位、8位、5位と着実にアップ。今季の目標を4位以内に定める一方で、チームの創設者でもある中山卓士監督(30)は新たな挑戦に乗り出す。UCI(国際自転車競技連合)に登録し、国際レースにも積極的に参戦することを決めた。

 「国内ツアーでは結果を残せるようになってきたので、これから目指すのは世界で戦えるチームです。まだ日本ではロードレースはマイナーな存在ですが、ヴィクトワール広島が国際舞台で結果を残すことで、国内でも注目される競技にしていきたい」(中山監督)

 世界の舞台で戦うために大幅な戦力補強を行った。新メンバー7人が加入し、総勢11人で臨む。また、国際レースに参戦するためには資金も必要となるが、地元企業を中心にバックアップ体制も整ってきており、チーム設立時は十数社だったスポンサー企業は現在99社まで増えた。

 支援企業の増加は中山監督の目指す「地域に愛されるチーム作り」が着実に浸透してきた成果でもある。警察や学校などと連携して交通安全教室を開いたり、県内のイベントに選手が積極的に参加する一方で、広島カープやサンフレッチェ広島など地元のプロチームとも交流。「我々にとってカープはお父さんであり、サンフレッチェはお兄さんのような存在。運営面など多くのことを学ばせてもらっています」と中山監督は感謝する。選手が街で声をかけられることも多くなった。

 国際レース初戦は3月下旬に行われ、4月にはJプロツアーも開幕する。現在、選手は起伏のある山岳コースで1日100キロ~120キロを走り込むなどトレーニングに励んでいる。藤岡克磨主将(29)は「国際レースへの参加でチームの経験値を高めるとともに、若手も強化して戦力を厚くしていきたい。個人的には20代最後の年なので表彰台に上がりたい」と意気込む。広島県でも3大会が行われる予定で、地元での表彰台はチームの目標でもある。世界進出へ向けて大きな一歩を踏み出す広島。勝負の1年が幕を開ける。(デイリースポーツ・工藤直樹)

 ◆ロードレース 主に公道をコースとする長距離レース。大会によっては距離は変わるが、200キロを超えるレースもあり、競技時間が5~6時間になることも。100~200人ほどの選手が一斉にスタートして最初にゴールした選手が優勝となる。各チームから複数の選手が出場し、優勝を狙う選手(エース)とそれをサポートする選手(アシスト)に分かれ、それぞれが役割を担ってレースを有利に進める。

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