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【野球】草野球デビューのイチロー氏が見せた本気と“ホスト“としての気配り

2回、打席でサムライポーズをするイチロー氏=ほっともっとフィールド神戸(撮影・山口登)
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 イチロー氏(46)がほっともっとフィールド神戸で草野球デビューを飾った。「これからは楽しい野球をやりたい」。3月の引退会見で明かした「草野球」への思いを実現させた1日となったのだ。

 「草野球」

 「楽しい」

 そんなワードから、想像したのは、ほのぼのとした、のどかな雰囲気の野球。だが、そんな予想は見事に覆された。イチロー氏の本気っぷりが伝わってきたのである。

 それは寸分の隙もないユニホーム姿からも見て取れた。引退から8カ月もたっているとは思えない現役感はさすがと言うしかなかった。背番号は「51」でなく「1」に変わっていたが、快晴の空の下、緑の芝の上に駆け出していき、キャッチボールを始めた瞬間に、ここを本拠地としてプレーしていた頃の光景が蘇ってきた。「草野球」であろうと、グラウンドに立つ限りは怠りなく準備をして本気で臨む。イチロー氏の哲学のようなものが感じられた。

 だから試合中にも「手抜き」は存在しない。点差が大きく開いた展開にもかかわらずイチロー氏は9回、131球を投げきり、智弁和歌山教職員チームを6安打で完封した。監督兼DHを務めた藤田理事長は言う。「7回で終わると思ったが、9回までゲームをやれた。最後の最後まで真剣勝負をしてくれてうれしかったですね」。サービスで打たせるような配慮こそ失礼だというイチロー氏のスタンスを相手側も意気に感じていたのだ。

 プレーにおいては本気モード全開だったイチロー氏だが、現役時代とは違う「気配り」のようなものも垣間見えた。例えば、おなじみの打席で行うルーティン。自身のリズムというより、お客さんを意識しているように見えた。実際、捕手にこんな声をかけていた。「これ、見たことありますか?」。ヒットを放った相手には、マウンドから「ナイスバッティング!」と称えるなど、相手選手と積極的に交流をはかっていたのである。

 試合後のグラウンドでは、ずっと応援パフォーマンスをしてくれた応援団のOB、OGら一人一人と握手を交わして感謝を伝える姿もあった。すべてが終わった時には日が暮れようとしていた。最後まで草野球を楽しみ、楽しんでもらう。“ホスト”としての細やかな気配りのように思えた。

 それにしても、甲子園常連校の応援団の本格応援を受けながら、イチロー氏と対戦するとは、なんと豪華な草野球だろうか。職員会議でのメンバー募集に「イチローさんに会えるならと軽い気持ちで手を挙げた」という先生は「まさか、こんなにマスコミの人やOBが来るとは…」と、注目度の高さ、3000人規模の観客(一般開放はなし)にプレッシャーを感じたと明かしながらも、見事にヒットも放ち「一生の記念になりました」と笑みを浮かべていた。

 草野球デビューを終えたイチロー氏は「めちゃくちゃ楽しかったです」という感想を残した。相手方もまたイチロー流の「草野球」を満喫し、その魅力にはまったのではないだろうか。(デイリースポーツ・若林みどり)

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