【スポーツ】地元企業で働きながら2部昇格を目指す広島女子サッカー 新監督迎え開幕

 女子サッカーのなでしこリーグ3部に当たるプレナスチャレンジリーグ西地区を戦うアンジュヴィオレ広島が14日、今季開幕戦を迎える。今季、新たにゼネラルマネジャー(GM)兼監督に広島市出身の結城治男氏(56)を迎え、3季ぶりの2部復帰を目指す。

 2012年のチーム発足直後は順当になでしこ2部へ昇格したが、16年に最下位となりプレナスチャレンジリーグに降格。昨季は同リーグ西地区で1位になったが、東西上位4チームによるプレーオフ(順位決定戦)で敗退し、2部復帰は果たせなかった。

 新GM兼監督として招かれた結城監督は広島工から東農大を経てフジタ工業(現湘南)で活躍。引退後は横浜Mでヘッドコーチなどの指導歴があり、16年には女子サッカーの岡山湯郷でコーチ、監督代行も務めた。広島市で育った生粋の“広島人”であり、メインの練習場である広島スタジアムにも自転車で通勤。「広島で仕事をするのは初めて。ちょっとプレッシャーを感じる」と苦笑いするが、地元密着を掲げるチームにこれ以上の適任者はいない。「リーグ戦は15試合しかない。その中で、いろいろシステムを考えながら勝っていける形を作っていきたい」と語る。

 チームをまとめるのは今季から主将となった近藤あすか(24)。「2部昇格という目標は、みんなで共有しています」とチーム一丸を強調し、「自分が試合に出るのが一番だけど、そうじゃない時にもチームのことを考えて行動したい」と、昇格のために全力を尽くす決意を示した。

 サッカー1本で生活できる選手はいない。ほとんどが広島市内の企業などで働きながらプレーしており、チーム練習も仕事が終わった後、夜間に行われる。近藤主将も「チームがオフの月曜も昼は仕事があるので両方休みという日はありません」と笑うが、「職場の人たちも“サッカー中心でいい”とすごく協力してくれる。サッカーができていることが幸せ」と、周囲のサポートに感謝する。

 14日の開幕戦は広島スタジアムにNGUラブリッジ名古屋を迎える。12年4月のチーム誕生から7年。母体企業を持たず、地元住民の手で作られたチームでもあるアンジュヴィオレ広島。地元の熱い声援に応えるためにも、今季こそ2部復帰の目標をかなえたい。(デイリースポーツ・浅野将之)

 ◆アンジュヴィオレ広島 2011年の女子サッカー日本代表のW杯制覇を受け、広島でも女子サッカーチーム発足へ向けたプロジェクトが加速。同年9月に広島市西区のJR横川駅周辺の住民や商店街が中心となり、前身のNPO法人「広島横川スポーツ・カルチャークラブ」が発足し、翌年4月にアンジュヴィオレ広島が誕生した。チーム名はフランス語で天使を意味する「ange」と、チームカラーである紫の「violet」を組み合わせたもの。

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