【スポーツ】西野ジャパンのW杯直前合宿 気になる緩い空気感

 もうすぐ開幕する世界規模の祭典、サッカーのW杯。6大会連続で出場する日本代表は、1次リーグの初戦・コロンビア戦(19日・サランスク)に向けてオーストリア・ゼーフェルトで事前合宿中。本大会2カ月前の監督交代を経て、ロシアでの戦いに臨む西野ジャパンだが、チームの雰囲気は良好。その一方で、大会直前にもかかわらず危機感の希薄さが気になる。

 雄大なアルプスを望む山間都市。インスブルック近郊のゼーフェルトは、時折気まぐれな雨が降るものの、気候も涼しく、空気も澄んでいる。選手もスタッフも「素晴らしい環境」と口をそろえる合宿地で行われた、5日の練習。約2時間ほどの調整では、前日に負荷の高い2部練習を行ったこともあり、セットプレーの確認など軽めのメニューが主だった。そんな状況を差し引いても、気になるのがピッチ上を包む“緩い空気感”だった。

 セットプレーの練習は、キッカーとゴール前で合わせるだけの簡単なもの。実際に参加している人数は少なく、立ち止まり練習を見ている選手が多かった。また、練習メニューの切り替え時もゆったりとしている。リラックスしている状態と言えば聞こえは良いが、キビキビと動くのではなく、漫然とメニューをこなしているようにも見える。

 もちろん、危機感や緊張感があれば良いというものではない。西野監督は、選手たちにピッチ外でストレスをかけ過ぎることを避け「常に頭はクリアな状態で、軽い状態で選手にはいてほしい」と選手に通達。メリハリのある雰囲気作りを目指している。だが、その一方で大会の成否を分けかねないコロンビア戦まで、残された時間は決して多くない。

 ミーティングでは選手たちが自由に発言し、意見することが推奨されるなど、チーム内の風通しは良い。実際に選手たちは「チームの雰囲気は良い」と口をそろえる。ただ、いまだ基本的なフォーメーションはもちろん、チームとしての戦い方も定まっていない現状に対して、リラックス感あふれる空気に不安を感じてしまう。

 もちろん、GK川島、DF長友、MF長谷部、本田、FW岡崎の5人が3大会連続でのW杯となるなど、経験が豊富な選手はそろっている。長友は「(大会までの)プロセスだが、言ってしまえば結果につながるとは限らないので、それは難しいところ。ただ、自分の中で雰囲気という意味ではメリハリもありますし、いい状態じゃないかなと感じているんですけどね」と前を向く。この不安が、杞憂(きゆう)だったと思える大会になることを祈っている。(デイリースポーツ・松落大樹)

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