【野球】強打ヤクルト支える“サブメンバー”3割打者ズラリ

 開幕して3週間となるペナントレースで、ヤクルトが奮闘している。昨季は96敗で最下位だったチームが、対戦がひと回りした15日の段階で8勝7敗の貯金1とした。

 原動力は攻撃陣。75得点はリーグトップだった。メジャーから青木が復帰。山田哲、バレンティンはもちろん、昨年はケガで長期離脱した川端の存在も大きい。

 ただ、一番大きいのは、実績十分の選手以外の働きだ。開幕スタメンではなかった“サブメンバー”の成績を見ると、少なからず驚いてしまう。10打席以上出場して打率3割を超える選手が、4人もいた。

 筆頭は5年目の西浦だ。キャンプは1軍で過ごした後、オープン戦期間は2軍へ。開幕直前に1軍に滑り込んだ。頭部死球の影響で欠場した川端に代わり、開幕5戦目に初スタメンに起用されると、いきなり3安打2打点の大活躍で勝利に貢献。次は3日後にスタメンでまた3安打2打点。川端の復帰後は遊撃でスタメン出場をつづけ、打率は15日の阪神戦まで5割をキープした。

 不定期のスタメンや途中出場の選手が、結果を出せている要因は何なのか。西浦に聞くと「みんながしっかり準備して入っていますね。自分は、試合が今どういう状況なのかを考えながらやってます」という答えが返ってきた。ベンチにいてもプレーしている時と同様に、常に試合の流れを頭に入れて準備しておく。だから誰がいつ出ても、自分の仕事をこなせる。

 当たり前のようでも、1試合を通じて集中力を保つのは簡単なことではない。それには、ベンチで出す声の役割は小さくない。西浦も「声が出ているのは感じますね」と認める。試合に出ていない選手も途切れずに声がけすることで一体感が生まれ、試合の流れに乗り損ねない。

 ベンチの一番本塁側に立ち、いつも声を張り上げている石井琢朗打撃コーチは「一体感は出していかないといけない」と話す。実際、今季のヤクルトベンチから出る声には、他球団の関係者や担当記者も感心していた。

 キャンプとオープン戦を経過し、首脳陣が手応えを感じていたのが戦力の底上げ。主力が外れても、ガタッと落ちることはない。シーズンに入ってからも、小川監督が「みんなで戦うという意識が非常に出ている」、「途中から出た人の食らいつく気持ちが出ている」と控え選手を評価する場面は多い。負けた試合でも、交代出場の選手を中心に、終盤に粘りを見せている。

 それは主力にも好影響を及ぼす。バレンティンは「後から出ていく選手が盛り上げてくれているし、出たら結果も出す。自分も彼らのためにも結果を出そうと、モチベーションを高くさせてくれる。影響は大きいよ」とうなずいた。

 意識改革を図り、キャンプの猛練習を積んで迎えた再起のシーズン。一人一人が自分の役割を全うし、一体感を持って戦う。「やってきたことしか出せないし、それ以上を出そうとも思っていない」という西浦の言葉には、自負と頼もしさを感じた。

(デイリースポーツ・藤田昌央)

◆開幕スタメン以外で打率3割超の選手

西浦 ・455、7打点

荒木 ・353、3打点

奥村 ・333、3打点

鵜久森 ・375、2打点

(18日現在、10打席以上)

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