【野球】ソフトボール出身の日本ハム大嶋、自己改革のまっただ中

 鍛え上げられた屈強な肉体の持ち主であり、一方で優しい心の持ち主でもある。試合前、取材を申し出ると丁寧な口調で断られた。「すみません。今、忙しくて」。本職の捕手を主戦場に一塁も務めるプロ7年目の18年シーズン。日本ハム・大嶋匠捕手(28)は、自己改革のまっただ中だ。

 2月の米アリゾナキャンプでは1軍に帯同したが、沖縄2次キャンプ以降は1、2軍を行ったり来たり。開幕後はイースタン・リーグでの出場を重ね、結果を出した。7試合で23打数8安打、打率・348、2本塁打、3打点。8日に今季初昇格を果たし、今チャンスをうかがっている。

 「すみません、何か聞きたいとのことでしたね。何でしょう?」

 再び声を掛けると、またこちらが恐縮してしまうくらい丁寧な口調で返してくれた。記者が知りたかったのは、2軍戦で結果を出せた一番の要因。一瞬の沈黙の後、笑顔でその理由を語り始めた。

 「もう、きれいなクリーンヒットはいいと思って。左中間を意識しながら『グシャッ』とバットが折れてのヒットでもいいから、今はとにかくヒットになればいいかなと思っています。その方が成績もいいですし、何より気持ちが楽なんです」

 早大から11年度ドラフト7位で日本ハムに入団。中学時代から大学生時代まで一貫してソフトボールを続け、硬式野球の経験がない異色のプロ野球選手として話題を集めた。しかし、現実は厳しい。ここまで1軍通算15試合の出場で、放った安打はわずか3本。来年2月で29歳を迎えるアラサーは、強い危機感を胸に戦っている。

 昨年のシーズンオフに。正捕手・大野奨がFA権を行使して中日に移籍。現在、扇の要は空席となっている。「気を抜くと、すぐ体が開いてしまうので。左中間を意識した方が打撃の形もいいんです」。プロ7年目の春、笑顔の奥に見え隠れする覚悟が印象的だ。がむしゃらに、生き残る道を切り開いていく。

(デイリースポーツ・中野雄太)

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