【野球】巨人戦力外となった川相ジュニア 球団より先に父から宣告された

 巨人の元育成選手で、川相昌弘2軍監督(53)を父に持つ川相拓也内野手(26)。支配下昇格はかなわず、今季限りで戦力外になった。指導者と選手としての3年間から、元の父と子の関係へ。川相の思う胸の内とは。

 球場を後にするその表情に、悔いはみじんもなかった。11月15日。マツダスタジアム。12球団合同トライアウトに参加した川相は「思い切っていこうと思っていました。すっきりしました。結果は別にして、できることはやりました」と穏やかな笑みを浮かべて振り返った。

 今季まで3軍監督を務めていた川相2軍監督の次男。桐蔭学園から桜美林大へ。13年3月に卒業後、翌14年9月に巨人の入団テストを受験。同年度の育成ドラフト2位で巨人に入団した。3年間、父子ではなく指導者と選手として、支配下昇格を目指してきた。

 1年目は「守備固めや代走での出場が多かった」が、2年目から出場機会を増やした。今季は3軍で、前年の倍に近い70試合に出場し打率・288。だが、支配下には届かず戦力外に。球団からの通知よりも前に、父から「来年は戦力になれないから」と伝えられたという。

 戦力外通告後、進路を巡り「意見がぶつかった」と川相。「この年齢まで育成だと、難しい部分も出てくる」と今後を心配し、安定を求める父と、悔いを残さずに、野球をやり切りたい息子。指導者と選手ではなく、父子の関係としての衝突だった。最後まで意思を貫き通した川相に、父は「悔いのないように、精いっぱいやってこい」と背中を押した。

 トライアウトの結果は3打数無安打。バットでアピールすることはできなかった。それでも「打てなかったけど、守備では堅実に守ることができた」と、すっきりした表情。1軍がキャンプを張る宮崎で報を受けた父も「悔いなくやれたのなら、それでいい」とうなずいた。

 巨人でのキャリアを終え、今後は元の父子関係に戻る。川相は「性格が真逆なんですよ。でもしょうがないですよね」と笑った。続けて「これから徐々に(距離を)縮めていきたい」と話した。偉大な父とともに戦った3年間。これからは、穏やかで深い父子の時間が増えるに違いない。(デイリースポーツ・野畑圭司)

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